『若草を濡らす少女たち』
第五話 野村良枝の巻(第二部)
       第四章 二人の良枝      

第四章 二人の良枝

 さて、次は二年A組か.....。
 原田は次の授業があるクラスへ行くため、職員室を出た。
 放課後や休日になると悪魔のように良枝を陵辱する原田だか、学校では何食わぬ顔で今までと変わりなく授業を行っていた。
 まだ始業のベルが鳴るまで二、三分あったが、原田はいつも始業ベルが鳴る前に職員室を出る事にしていた。別に時間通りに入らないと気分が悪いという事ではない。女子生徒鑑賞の為だった。
 良枝ほどではないものの、魅力的な少女がまだまだ校内には沢山いる。そんな少女たちの姿は見るだけでも気分転換になり、授業も気持ち良く進められるのだ。
 階段を上っていく原田に、すれ違う生徒が挨拶をして通り過ぎていく。この優越感は教師ならではのものがある。
 廊下を歩いていた原田は、ハッとして立ち止まった。二人の女子生徒が仲良さそうに話している。
 野村が二人?
 そんな馬鹿な、原田は目を凝らした。
 セーラー服の方は確かに良枝だったが、体育着の方はやはり別人で、原田の知らない子だった。教えていないクラスの生徒だろう。
 原田はしばらくその場で、その少女をじっと観察した。
 見違えたのも無理はない。背丈や髪型、体型も良枝と良く似ている。ただ良枝に比べてキリッとした顔だちをしている。
 しかもその少女も良枝のような小麦色の肌をしていた。原田の胸に新たな欲望が沸き起こって来る。
 原田は二人の方へ歩み寄った。
 「そこの二人、もうすぐ授業が始まるぞ。教室に戻りなさい」
 良枝は声の主が原田と分かると、怯えたような表情を浮かべた。
 「じゃ、またね」
 少女は良枝に手を振ると原田に一礼し、階段を駆け降りて行った。
 良枝は俯いたまま立ち竦んでいた。身体が小刻みに震えている。
 「何を恐がっているんだ。いくら俺でもこんな所でハメようとは思っとらん」
 原田は冗談のつもりで囁いたのだが良枝は俯いたまま無言だった。ここの所アナルセックス、公衆トイレでの行為と強烈な責めを受けているのが余程堪えているらしい。
 「今の子は誰だ」
 「えっ」
 良枝はびっくりしたように顔を上げた。
 「今話していた子は誰だと聞いたんだ」
 「まり子ちゃん.....」
 「フルネームで言え、クラスは」
 「二年E組の西川.....まり子ちゃんです」
 「二年E組、西川まり子か.....そうか」
 良枝は最初不思議そうな顔をしていたが、やがてそれは恐怖の色に変わった。
 「先生.....まさか」
 「何だ、ああそうか.....。多分お前が今考えたことは当たっているよ」
 良枝に言い残すと、原田は再び歩き始めた。
 しばらく歩いてふと振り向くと、まだ良枝がこわばった顔つきでこちらを見ていた。
 「さすがに鋭いな。俺があの子に目を付けたのをもう感づいたとは」
 始業のベルが鳴った。原田はほくそ笑みながら歩みを速める。
 「西川まり子か、まあ野村にも協力して貰う事になるだろうな」
 原田は早くも新たな獲物をどうものにするか、思いを巡らせていた。

 


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