『世界は時折、嘘をつく』
    死への誘い    
 
 13.死への誘い

「大人は…嘘つきなんだよ」―鈴木は彩香に
そう言った。
 ―――たしかに、そうなのかもしれない。

 そしてここに、二人の嘘つきがいた。

「ひとみちゃ〜ん、そんなに遠くに逃げない
でくれよ」
 太って髪の薄い男が、醜悪な笑みを浮かべ
猫撫で声で、ひとみに擦り寄っていく。

「やめて、あっち行ってよ、気持ち悪い」
 ひとみは後ろ手に縛られたまま、なんとか
足の力で後すざりをした。

「おい津田! お前のせいで、ひとみちゃん
怖がってるじゃねぇ〜か」
 背が高く眼鏡をかけた男が、冗談まじりに
太った方を軽くたしなめる。

「どうして私の名前を知ってるの? あなた
たちのことなんか――わたし知らない」
 ひとみは、突然この部屋に現れた見知らぬ
男たちに戸惑っていた。
 連れ去られた康太と彩香のことを心配して
物思いにふけていたら、いきなりこの2人が
現れた。呆気にとられる少女によそに、笑み
を浮かべた男たちは、まるで全て知っている
ような口ぶりで話かけてきた。

「かわいそうになぁ〜、鈴木のやつにあんな
エッチなことをされて。しかし、奴は本当に
悪い野郎だな―」
 津田と呼ばれた男が、本心から優しい言葉
を言ってないことくらいは、ひとみにも分か
ったが―――そんなことより、トンデモない
ことを今この男は口ばしった。
 あんなエッチなことをされて……って何で
この男がそんなことを知っているのだろう?

 露骨に不審感をあらわにする少女に気づき
背の高い男が思い出したように、自己紹介を
始めた。
「あ、ゴメン。このデブが津田、俺の名前は
田中、よろしくね。ひとみちゃんは俺たちに
初めて会うかもしれないけど、俺たちの方は
ひとみちゃんのことを、よく知ってるんだ」
 もちろん、鈴木の撮ったビデオがダビング
され、この男たちの手に渡っていることなど
ひとみが知るはずもなく、鈴木が洩らした話
にでも釣られて、この男たちは集まって来た
のだろう、と考えるのが精一杯であった。

「いやぁ〜あんまり鈴木ばかりにいい思いを
させるのもムカツクしさぁ、あぁ―俺たちも
ひとみちゃんと楽しいことしたいなぁ―って
思ってここに来たわけよ」
 その田中という男の一言は、ひとみの心に
暫く忘れていた深い絶望感を甦らせた。

         *

 そのころ、鳴海幸太郎はある有力な情報を
得ていた。
 今朝の8時半頃、街外れの雑居ビルに入る
小学生くらいの子を見たというのだ。平日の
朝方にそんな所に入る子供なんて変だと思い
目撃者もよく覚えていたらしい。
 それは、今朝から行方不明の彩香という子
のことだろうか? もしかしたら、そのビル
にひとみと康太も捕らわれているのではない
のか?
 幸太郎は、その教えられたビルへと向かい
走り出した。

          *

 縛られていた手首も解かれ、冷たい床の上
にひとみはペタンと座っていた。

「さぁ〜ひとみちゃん、何をして遊ぼう?」
 ひとみは、そんな津田というデブの言葉に
いちいち反応するのも苦痛に思えた。

「なんだ〜返事もしてくれないんだなぁ〜」
 そんな30才過ぎの立派な大人が、12才
の自分に何を求めているのかは、鈴木に散々
弄ばれた少女にはよく分かっていた。

「仕方ないな、おじさんが手伝ってやるか」
 そう言いながら、いつの間にひとみの背後
に立った田中という男が、そのTシャツの裾
に手をかけた。 

「いやっ、やめてよ」
 ひとみは慌ててその手を強く振りほどく。

 すると、
「―――あのさぁ、俺たちって鈴木みたいに
めんどくさいことキライなんだよね。あいつ
がやってんの見てたらイライラするんだ」
 急に田中は不機嫌そうに呟き、またその手
をTシャツの裾にかけた。 

「やめてって言ってるでしよう!」
 ひとみは振り返り、田中を激しく睨みつけ
再びその手を強く振りほどく。 

 と、それは突然、
「こんなこと、あんまりしたくないんだけど
ごめんね、ひとみちゃん」
 不快感をあらわにした表情で、正面に向き
直ったひとみの目の前に、何かを手に持った
津田の姿があった。

「これ何か分かる? そう、ピストルだよ。
お願いだから、おじさんたちの言うことを
聞いてよ。そうじゃないと、ひとみちゃんを
こいつでズドーンって、やらなきゃいけなく
なるからさ」
 もちろん津田のようなチンピラが、そんな
物騒なものを持てるはずもない。只の精巧な
モデルガンである。
 しかし、生まれて初めてそういう物を目に
した少女にとって、男の手で鈍く光る白銀色
の物体は、拳銃以外の何物でもなかった。

 その凶器の姿に顔は青ざめ、まるで金縛り
にあったように体を硬直させるひとみに対し
津田は勝ち誇ったような顔で、非情な要求を
告げた。
「さぁ、自分の手でシャツをめくって、俺に
かわいいオッパイを見せてよ」

 ひとみはうつむいて、激しく首を振る。

 だが、津田はいきなりモデルガンの銃口を
少女の頭に押し当てた。
「あんまり、いらいらさせんなよ! そんな
ことなら俺たちが脱がしてやろうか?」

 しばらく瞳を閉じ考え込んだあと、ひとみ
は決心を固めた様子で、震える手をシャツの
裾にかけると、それを静かに持ち上げた。

 少しづつ、少女の青白いわずかな膨らみが
その姿を見せ始める。

「これ以上は……」
 ひとみの手は、脇の下まで裾を持ち上げた
ところで止まってしまった。

「なんだ、それ以上は見せてくれないのか?
ん〜かわいいオッパイが生でよ〜く見えるし
まぁ…いいか」
 津田はそう言い、まるで自ら愛撫するよう
に舌砥めずりしながら、その膨らみをじっと
見つめている。

 しばらく押し黙っていた田中が、急に口を
開いた。
「じ、じゃぁ〜さぁ、ひとみちゃん。自分で
自分の乳首を立たせてみてよ」

 この男は何を言ってるんだろう? ひとみ
は田中の言葉を、すぐに理解できなかった。
 そんな恥ずかしいことをするほど、わたし
バカな女の子じゃない―――。少女にとって
この2人は、鈴木以上に理解できない存在に
思えた。

 眉間にシワを寄せ、不快な表情を浮かべる
ひとみを嘲笑うように、田中はあくまで軽い
調子で言葉は続けた。
「ほら、自分の指でいじってみてよ。いつも
好きな男の子のこと思って、オナニーしてる
んだろ? 立った乳首は俺がぺろぺろ砥めて
もっと大きくしてやるからさ」 

 それでも微動だにしないひとみを見て、
「さぁ、早く!」
 正面に立った津田は、苛立ちながらモデル
ガンの撃鉄に手をかけた。 
         
         @

 春の暖かい風の吹く屋上。彩香はひとみを
助けるため、鈴木の言いなりになっていた。
 自分が犠牲になれば、真下の部屋で人質に
なっているひとみには手を出さない、という
鈴木の言葉を素直に信じていた。ただ、康太
は多少の疑いを持っていたが、この状況では
それを確かめるすべもなかった。

「さて、彩香ちゃんは康太にオッパイをぺろ
ぺろ砥められて、どんな気分だい?」

 康太は鈴木に言われるまま、彩香の乳房を
口に含み、舌先で乳首を転がしていた。
 生まれて初めての経験で、やり方さえ未熟
であったが、幼なじみの少女に対する愛撫に
うまく言えない高揚感を感じる自分に、少年
は戸惑うばかりであった。

「…ン…あっ…」
 堅く閉じた彩香の唇から、時々耐えきれず
吐息とも喘ぎともとれない声が洩れるのを、
ビデオカメラ越しに鈴木は見ている。

「康太のおかげで、彩香ちゃんの乳首はもう
ビンビンに立ってるみたいだな」
 たしかに片方は康太の口で愛撫され、残る
片方もローターによって絶えず刺激を受けて
いたせいで、薄桃色の小さなそれは、本来の
幼さを隠すくらい見事にしこり立っていた。
   
「――さて、乳首も立ったし、もうそろそろ
いい加減に、彩香ちゃんの大事なアソコを見
せてもらおうかな」
 そう言いながら鈴木は、少しづつカメラを
彩香の股間に近づける。
 今は太股を堅く閉じ、わずかにスリットの
端が見える程度でしかなかった。

「ほら、足を開いてよ…」
 鈴木の指が少女のヘソの下に触れた瞬間、

「イヤッ、やめて!」
 彩香はうずくまり、泣き崩れてしまった。

 しかし、鈴木は彩香の長い髪をガバッっと
掴み、その頭を持ち上げると、
「いつまでも、ガキの遊びはやってらんない
だよ。……さっさと足を開け!」

 今までとは違う、鈴木の威圧的な態度に、
彩香は呆然としていた。

「…彩香」
 呼びかけるでもない、康太の小さな呟きが
聞こえる。

 ―――彩香は覚悟を決め、閉じていた足を
静かに開いた。

 


    目次     

恥辱小説の部屋

動画 アダルト動画 ライブチャット