『世界は時折、嘘をつく』
    風に揺れるもの    
 
 12.風に揺れるもの

「最初は少し痛いかもしれねぇ〜けど、まぁ
我慢しろよな」
 鈴木がそう言い、彩香の白いショーツに手
を伸ばした瞬間、

 ピィロロローピィロロロー……

 突然、携帯電話の着信音が鳴った。

 鈴木は軽く舌打ちをして、胸ポケットから
携帯電話を取り出すと、

「はい、鈴木ですが……えぇ、今やろうと…
あっ…えっ、ダメなんですか? 仕方ないな
じゃあ〜ガキ同士で……はい、大丈夫です。
分かりました、では後で」

 不満気な顔で短い電話を終えると鈴木は、
彩香の両足に縛り付けていたモップを渋々
外し始めた。

 思いがけない状況の変化に戸惑いながらも
彩香には今の電話で一つ発見があった。それ
は鈴木に共犯者がいたことだ。
 少女の常識としては、鈴木のような変態に
同じような仲間がいるなんてことは、とても
理解できないのだが、実際にそういう仲間が
何処かにいて、その指示で鈴木が動いている
ことだけは分かった。

 鈴木は足のロープだけを解き、両腕は背中
で縛ったまま、彩香を強引に立たせた。

「このまま何にもしないわけじゃないんだぜ
たださぁ〜ちょっと作戦変更があって、場所
を移動しなきゃいけないんだ」

 鈴木はロープの結び目をグィッと掴むと、
彩香の小さな体を浴室から引っぱり出した。
 困惑の表情を浮かべた少女が、言葉を探し
口を開きかけたときには、もうその体は暗い
廊下をズルズルと何処かへ向かい、引きずら
れていた。

「い、痛いことはしないって約束でしょ?」
 彩香としても、このまま男の言いなりにな
るわけにはいかない。

「大人は…嘘つきなんだよ」
 鈴木は今まで見せたことのない、哀しそう
な表情でポツリと言うと、あとは無言のまま
また歩き出した。

         @

 春の暖かい日差しが差し込む部屋で、姉と
同様に縛られた康太は、無言でじっと天井を
見上げていた。彼にとっても彩香の安否は、
当然気がかりだった。
 ずっと仲良しの幼なじみとして接し、時に
妹のように少女のことを思っていたが、少し
づつ大人びていくその姿を見るにつけ、康太
の中にうまく言えない不思議な感情が芽生え
始めているのも、また事実である。
 しかし、少年はあえてそれを「一番大切な
友達」という感情として、無理に自分を納得
させていた。
 そんな恋愛対象として見ることの罪悪感は
その年齢の少年特有に存在するだろう、ある
種の潔癖さなのかもしれない。

 そんなことを思っていると、突然に入り口
のドアが開いた。
「康太――ちょっと来い!!」
 鈴木がドアノブを握ったまま半笑いの顔で
康太を手招きしている。

 来いと言われても、体を縛られた状態では
立ち上がることも出来ない。

「ほら時間がないんだ、さっさとしろ」
 鈴木はぶつぶつ言いながら、康太のロープ
をサッと素早く解くと、まるで何かに追われ
るように急ぎ早にその手を掴み、部屋を出て
いってしまった。

 一人とり残されたひとみは、額から流れ落
ちる汗さえ拭えないまま、窓から差し込む春
の日差しに、また彩香のことを考え始めた。

         @

「さぁ、到着だ」
 鈴木に連れられて康太がたどり着いたのは
そのビルの屋上だった。小さな給水タンク、
錆びだらけで風に揺れる手すり、他には何も
ない。こんな場所に一体なにがあるのか? 
不審がる康太を横目に、鈴木は給水タンクに
向かって大声で呼びかけた。

「お〜〜い彩香! お前の大好きな康太が、
助けに来てくれたぞ」
 するとタンクの陰からおずおずと、小さな
人影が顔を覗かせた。

「康太君…」
 今にも泣き出しそうな、クシャクシャ顔の
彩香がそこにいた。でも何故か、タンクの陰
から出てこようとはしない。

「おい、早く出てこい。…なんだ、出てこな
いのなら、こっちから行こうか?」
 鈴木が含み笑いでそう言うと、
「こ、来ないで……お願いだから、あっちに
行って」
 慌てて取り乱すように、彩香はまたタンク
の後ろに姿を隠した。

 康太にはまるで状況が飲み込めない。自分
がここに連れて来られた訳も、彩香の不審な
態度も、全てわからない事だらけだ。それは
一人だけ台本を渡されず、いきなり舞台に立
たされた役者のようなもので、一人世界から
取り残されたような感覚である。

「仕方ねぇ〜な。康太! お前が彩香のこと
迎えに行ってやれよ」
 鈴木の含み笑いが少し気になったが、康太
は給水タンクに向かい歩き始めた。

「康太…君…来ないで…お願い…」
 康太は振り返り、無言のまま視線で鈴木に
問い掛けた。しかし鈴木は首を横に振って、
気にせずそのまま歩けと、引き返すことさえ
許さない様子だ。

 狭い屋上である、すぐに給水タンクの後ろ
へ辿り着いた。そして当然だが、そこに彩香
の姿があった。しかし、

「あ、彩香…」
 少女は、無惨にショーツさえも剥ぎ取られ
全裸でうずくまっていた。

「み、見ないで…」
 こちらに背を向けうずくまるその肢体は、
女性らしい丸みを帯びていながら、どこか
少年と少女が混在した中性的な雰囲気さえ
漂わせた。
 康太はようやく、彩香の不審な言動の理由
を理解しながらも、少女にかけるべき言葉を
失っていた。

「さて、感動の再会はもうおしまいかな? 
彩香、さっさと立てよ!」
 いつの間にか彩香の背後に、呆れ顔の鈴木
の姿があった。

 だが、彩香に立ち上がる気配はない。

「おぉ〜い、早く康太にお前の大事な部分を
見せてやれよ」
 そんな恥ずかしい姿を、康太に見せること
など出来ないとばかりに、ますます彩香は体
を小さく丸めた。

「今さら恥ずかしがったって仕方ねぇ〜だろ
お前は康太に小便をするところを、ばっちり
見られてるんだから」
 そう言いながら、鈴木は彩香の両脇を背後
から抱え上げ、無理やりその体を立たせよう
とする。

「やめてよ、離して…」
 彩香は太股を堅く閉じたまま、必死に鈴木
の手から逃れようとするが、男の半分の体重
もないその体は抵抗空しく、一段高くなって
いるコンクリートの上にガクガク震えながら
立たされた。

「そんな股を閉じてると、かわいいアソコが
見えねぇ〜けど、まぁいいや」
 鈴木は半分バカにしたような笑みを浮かべ
ながら、康太に何かを手渡した。
 ピンクの細長いコードが伸び、その先には
同色のカプセルのような物が付いている。
 それは少年にとって、生まれて初めて目に
する物体だった。

「何か分かるか? そいつはピンクローター
ってやつだ」

 そんな名前を聞かされても、小学生に理解
出来るはずもない。

「お前はこれから、そのローターで彩香の体
を苛めてやるんだよ」

 彩香の肩がピクッと反応した。

「な、何でそんなこと…」
 康太が顔を赤らめ、当惑の表情で反論する
のを遮るように、鈴木は言葉を続けた。

「もうやるしかねぇ〜んだ。素直に言うこと
を聞いていれば、まぁー悪いようにはしない
から。…まさか、下の部屋にいる姉ちゃんの
ことを忘れてないよな? 多分もう気づいて
ると思うけど、俺には仲間がいるんだよね。
もしここで、お前らが俺に逆らったりしたら
ひとみはどんなことをされちゃうのかな?
3人がかりだから……それは酷いことされる
だろうな」

 康太は、このまま眼前の錆びついた手すり
を乗り越えて、果てしなくどこまでも墜ちて
いく自分の姿を見たような気がした。

         *

 彩香たちのいるビルは、わずか地上三階の
高さしかなく、その屋上の光景も周りのビル
からは丸見えである。

 今そんな場所で、11才の少女が中年の男
に背中から羽交い締めにされ、殆ど宙吊りの
状態でその肢体をあらわにしていた。

「さぁ〜康太! お前の好きにしていいんだ
なぁに、遠慮するなよ〜」
 鈴木はそう言いながら、彩香の耳の後ろを
ペロリと砥めた。

「イヤッ、やめて気持ち悪い」
 体をバタつかせ必死に抗う彩香であったが
男の手から逃れることは出来ない。

 一方康太は、握り締めた手の中で振動する
ローターをじっと見ていた。

「お姉ちゃんを助けたいんだろ?」
 退路を塞ぐような鈴木の言葉で、康太自ら
一つの決断を下した。
 おもむろに、両腕を拘束された彩香の前に
立つと、震えるローターを少女の乳房に押し
当てた。

「彩香、ごめん……」
 目を伏せうつむいたまま康太は、ローター
を少しずつ動かし始めた。

「あっ…や、康太君…」
 彩香も歯を食いしばり、平常心を保とうと
する。しかし、それが敏感な部分に触れる度
体はピクッピクッと反応してしまう。
 それは遠くから見れば、壊れたおもちゃの
人形のように映ったかもしれない。

「康太、もう片方も可愛がってやれよ。どう
するか…分かってるよな?」
 康太はためらうことなく、彩香のもう片側
の乳房にそっと唇を寄せた。

 


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