『世界は時折、嘘をつく』
      雨音      
 
 10.雨音

 昼間にも関わらずカーテンを二重に閉めた
薄暗い部屋。3人の男たちが、獲物を狙う蛇
のような眼でTV画面を見つめていた。

 それは、色白で髪の長い少女が泣きながら
ヤクザ風の男に体をもて遊ばれている映像だ
った。
 少女の体を這い廻る男の真っ赤な舌。

 太って髪の毛の薄い男が、まるで舌なめ
ずりをするように呟く。
「鈴木の奴うらやましいよなぁ〜。だって、
こんなかわいい子とエッチなことが出来るん
だからさぁー」
「おい、さっき奴から来たメールによると、
このひとみって子だけじゃなくてもう1人、
彩香って子が、小便漏らしてるビデオもある
らしいぜ」
 メガネをかけて背の高い男も、自分だけの
最新情報だと言わんばかりに、自慢顔で言い
返した。
 男たちが見ていた映像は、きのう廃ビルの
あの部屋で撮られた、隠れて覗く康太の目の
前で凌辱を受けるひとみの姿だった。

 興奮を隠せない2人とは違い、残りの1人
白髪頭で年配の男だけは、冷めた眼で画面を
見ていた。
「おい、あんまり興奮するな。いいか、よく
聞け、こいつは売りモノなんだ。お前たちが
いま考えることは、こいつをどうやって安全
に売り裁くかってことだけだ。この前のガキ
のことは覚えているだろーな?最近はサツも
バカじゃねぇ、ガキを使ってるってチクリで
すぐパクリやがるからな。まぁ〜鈴木にして
は上玉を捕まえてきたことだし、この子には
悪いが、たんまりと稼いでもらわないとな」
 と、男は諭すように言い、手元のリモコン
でビデオを止めた。

          @

 ザァァァ〜〜〜ッッッ・・・・ポ、ポタッ

 彩香は、木洩れ日さえ射さぬ深い森の中を
なぜか一人で歩いていた。ここはどこ?・・
全く思い出せない。湿った落ち葉を踏みしめ
る音だけが静寂の森に響く。
 髪を手でそっと撫でると、微かな湿り気を
感じた。木立の隙間には低く重たい雲、足元
の小さな水たまり。
「・・・雨が降ってるの?」
 だが、わずかに見える漆黒の空には雨粒の
姿は感じられない。

 ずっと聞こえる雨のような音、拭いても濡
れていく髪の毛、少しづつ広がる水たまり。
「なんで雨も降ってないのに、髪が濡れたり
水たまりが大きくなったりするの?」
 戸惑いを隠せない彩香は、ふと自分の姿を
見た。バケツの水を頭から被ったようにズブ
濡れの体、素肌に貼り付く白いスリップ。

「スリップ?・・えっ、なんでスリップ一枚
なの?」
 さっきまで着ていた黄色のトレーナーも、
赤いスカートもいつの間にか消え去り、濡れ
たスリップ一枚の姿に、今やっと気づいた。
おまけに裸足で爪先は泥だらけだ。

 そんな内心の混乱とはうらはらに、何かに
導かれるように泥まみれの両足は、深い森の
奥へと歩みを進めていく。

 数を増やし、広がり続ける水たまり。

 頬を伝う水滴は汗なのか、髪が濡れている
せいなのか、彩香自身もだんだん分からなく
なってきた。
「き、気持ち悪い。早くあったかいお風呂に
入りたいな・・」
 内心は泣き出したい気持ちを抑えたまま、
両手を胸の前で交差させ肩を抱くようにして
彩香は歩き続けた。

 ザァァ〜〜〜ッッッ・・・ゴォォ〜〜ッッ

 耳鳴りのように止まない水音、それを全部
吸い込んで、流してしまうような音。
 そう、トイレの水を流した時みたいな感じ
かな?・・・・いや違う、もっと近いものを
私は知っている・・・

 彩香は瞳を閉じ、必死に記憶の糸を手繰り
寄せる。
 激しい水音・・・叩きつけるような・・・
・・流れる・・排水口・・栓を抜く・・渦巻
・・お風呂・・シャンプー・・目が痛い・・
早く流さなきゃ・・洗面器?・・・いや違う
・・ザァァ〜〜〜ッッ・・・シャワー・・・
シャワーで流さないと・・・

「そう、シャワーだよ、これはシャワーの音
なんだ!」
 彩香が思いきり叫んだ瞬間、背後から何か
がぶつかってきた。

「!」
 あまりの驚きに声を失い、金縛りに会った
ように固まった彩香の脇の間から、黒く太い
2本の腕が突然ニュッと伸びた。
 その腕は、前方にピィーンと長く伸びたか
と思うとすぐに、肘を曲げて後ろに戻ろうと
動き始めた。そして、黒い手のひらが彩香の
脇の下から完全に消える寸前、それは指先を
九の字に曲げ、彩香の胸を強く掴んだ。

「キ、キャァァ〜〜〜〜ッッッ」

 彩香はパッと目を開けた。壁一面が白に塗
り固められた部屋、染みだらけの天井。やけ
に明るく眩しい照明。たしか森を歩いていた
はずなのに・・・ここはどこだろう?

「やぁ〜彩香ちゃん、おはよう!」
 頭のすぐ後ろで、思い出したくもない声が
聞こえる。振り返るとそこには、シャワーを
片手に持った鈴木が笑顔で立っていた。

 彩香はスリップ一枚の姿で、風呂場のバス
タブを背もたれにして気絶していたらしい。
 そして、鈴木はバスタブの中に立ち、激し
いシャワーの湯を彩香の頭にかけている。
「や、やめて・・苦しいよ、目が痛い・・」
 彩香はシャワーから逃れようと、前屈みに
なり腰を浮かせた。
「いやぁ〜〜ごめん。でもさ、彩香ちゃんが
小便を漏らしたから、きれいにしてあげよう
と思ってさ」   

 その瞬間、忘れていた忌まわしい記憶が、
彩香の脳裏によみがえった。

 カラカラカラ・・・ジャァァ〜〜〜ッッッ 

「あ、思い出したみたいだね。いやぁ〜彩香
ちゃん、いっぱいオシッコするから〜」
 鈴木の嘲笑するような言葉に、彩香は体を
震わし叫び声をあげた。

「い、いゃゃぁぁぁ〜〜〜っっっ」

 スリップ姿で小さく震える彩香の前では、
ビデオカメラが冷たい視線を送っている。
「大丈夫だよ、何も恐いことないからね」
 そう言いながら、背後から伸びた黒い手は
彩香の濡れ髪を優しく撫で、胸元に少しづつ
近づいていく。

 気づいたときには、もうその体は鈴木の膝
の上にあった。鈴木の手は幼い胸を包み込む
ように、揉みしだき始めた。

「や、やめて・・気持ち悪い」
 一時の興奮状態から醒め、我を取り戻した
彩香は、必死に鈴木の手から逃れようとする
が、大人の力には勝てない。鈴木の手はまだ
わずかな膨らみしか感じられない幼い胸を、
まるでオモチャのようにもて遊んでいく。  

「いやだって言ってるでしょう・・・お願い
だから放して・・・」
 力いっぱいに体をくねらせ、抵抗を試みる
彩香を嘲笑うように、鈴木の言葉は幼い少女
の心さえも、恥辱に包み込んでいった。  

「彩香ちゃんのオッパイは、まだちっちゃい
んだなぁ〜。でもこうやってさ、俺が揉んで
やるんだから、きっと大きくなるよ〜。さて
彩香ちゃんのカワイイ乳首はどこかな?」
 鈴木は人さし指をクィッと曲げ、スリップ
ごしに彩香の乳房をツゥーーと撫で始めた。

「やめてよ・・・・も、もういやだ・・・・
早く家に帰らせて・・変なことをしないで」
 彩香は泣きながら鈴木に訴えた。しかし、
そんな言葉も鈴木には、逆効果であった。

「あんまり騒ぐと、大好きな康太とひとみが
死んじゃうよ〜。あれっ言ってなかったけ?
康太たちが今いる部屋はね、爆弾が仕掛けて
あるんだよ。だから、彩香ちゃんがあんまり
ワガママを言うと、ドカァァ〜〜〜ンと爆発
するようになってるの」
 もちろん冷静に考えたら、そんなバカな事
があるわけがない。しかし、こんな異常な状
況に追い込まれ、判断能力を奪われた11才
の少女は、それを真実と受け止めた。

「さあー、そろそろいいかな?」
 舌なめずりをした鈴木の手が、彩香の白い
スリップの裾に伸びた。

 


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