『麗と隷』
       第九話       

第九話

「法子、陽子が迎えに来たぞ」
 梅田の声に、法子は横たわっていたソファーから飛び起きた。朝方近くまで陵辱を受けた法子の身体は、あちこちで悲鳴を上げている。寝不足で頭の芯も重い。
「ほらっ、学校行くわよ」
 陽子に急かされ、法子は急いで洗顔をし陽子に従う。相変わらず全裸のままだ。駐車場で車に乗り込むと既に美菜も乗っていた。法子は俯き、唇を噛みしめるが小さな溜息を漏らすと震える声で美菜に挨拶をする。
 昨日、美菜達に受けた陵辱は、遙か昔の出来事の様に想われたが、歴とした現実だ。美菜は法子に蔑んだ視線で振り返ると、
「ほら、制服」
 法子は、それを押し頂くと、小さく息を吐いた。下着はやはり無い。法子は俯き陽子に縋るような視線を向けるが、陽子は無視している。諦めて狭い車中で身支度をしようとすると、陽子が法子の身体中の傷跡に気付く。昨夜、加奈子に噛まれた全身に及ぶ鬱血の跡は、数時間経った今も消えず、くっきりと痣となり浮き出ていた。
「お前、なぁに、その痣」
 法子は、俯くが、
「あの…、御免なさい。…お借りしている、大切な身体、傷つけてしまい…」
 嗜虐者が自らの欲望を満たすために付けた痣も、謝罪しなければならないことに、法子の心は屈辱に痛むが、本当に法子自身が悪いことでもしたかのように、頭を垂れ続ける。
「お前ねぇ、いい加減にしなさいよ。…この間もそうじゃない。お前が、何時まで経っても、その身体大切に出来ないなら、芸能界を引退させて、恵のように専属にさせるわよ」
 法子の身体に戦慄が走る。屈辱感で心中を掻き毟られながらも、法子は必死で謝罪の言葉を繰り返す。自分の運命は既に他人に委ねられ、自らの力では如何ともし難い事実を改めて思い知る。
「あらあら、ほんと、法子ってすごいねぇ」
 美菜がわざわざ振り返り、法子の裸身を蔑んだ視線で舐めまわす。
「それで、昨日の報告は?」
 陽子が苛ただしげに法子に訪う。法子は美菜に聞こえることに少しの躊躇いを見せるが、途切れ途切れに昨夜の陵辱の報告をした。
「えぇ〜、素っ裸で、コンビニ行ったの?」
「公園で、3P?」
「あっきれたぁ…、あんなとこでオシッコしたのぉ?」
 法子は美菜の嘲笑を浴び羞恥に身体を震わせ、その裸身を紅潮させた。
「で?、お前、感じてたんでしょ」
 美菜にまともに見つめられ、法子はその裸身を縮め、縋るような視線で陽子を仰ぎ見るが、陽子の冷酷な視線に跳ね返される。
「どうなの?濡れちゃったんでしょ?」
 美菜の執拗な問いに、法子は唇を噛みしめるが、小さく頷く。
「変態…」
 美菜は吐き捨てるように法子に言うと、ぷいっと振り返った。法子は項垂れ、その瞳に涙を滲ませるが、ふと瀬田の救いの言葉を思い出す。
(耐えなきゃ、…我慢してれば、きっと…)
 法子の身体に勇気が湧いてくる。
 報告を終えると法子は屈辱に身体を震わせながらも、制服に袖を通していく。相変わらず法子の身体には窮屈なブラウスは、法子の形の良い乳房を締め付け、幼気ながらも官能的な谷間を露わにしていた。小さな乳首もポツンと浮き出ている。ボタンはやはり三つ目と四つ目しか付いていない。
 腰巻きのようなスカートを履いたとき、法子は愕然とした。スカートから覗く程良い肉付きの太股や、すらりと伸びた脹ら脛に昨夜の鬱血の跡がくっきりと浮き出ていた。開いた胸元を改めて見下ろすと、やはり痣が見いだしている。性知識の豊富な最近の高校生が見れば、それが淫靡な痣であることは一目瞭然だ。法子の背中に冷たいものが走る。
(このまま…学校に、行ったら…)
 法子は思わず陽子を振り返った。学校を、休ませて欲しい…、そう言いたかったが、法子は俯くと、唇を噛みしめその言葉を飲み込んだ。
 哲哉達に恰好な虐めの材料を提供するようなものだ。また学校に行っても、屈辱と羞恥に苦悩させられるのかと思うと、胸が締め付けられる。
「美菜ちゃんにね、これだけは履かせなさいって言ったから…」
 法子は陽子の差し出したものに眼を向けた。それはTバックスタイルのショーツだった。法子はそれを押し頂く。
(履かないより…マシか…)
 履くとその覆うべく生地の小ささに法子は憂鬱になるが、無いよりはましだと自分に何度も言い聞かせる。そして純白の靴下を履き、真新しい革靴を履いた。
「ふふ、昨日までは普通の女子高生ってかんじだったけど、一日で法子らしくなっちゃったね」
 陽子の揶揄に、法子は思わず身体を縮めた。
「さて、実はねぇ。藪さんが、お前を新番組で使ってくれるそうよ。うちの事務所のタレントも込みでね。今日、これから打ち合わせに行くんだけど、楽しみにしてなさい」
 法子はコクリと頷くものの、藪がらみということが心に引っかかる。しかも、美玖や今日子達と…、法子の心に重い物が落ちる。

 校門で下ろされると、法子は美菜に、昨日の言いつけを守ることを厳命され、項垂れたまま美菜の後を隠れるように歩いた。煌びやかに照らす太陽が法子には恨めしかった。周りで法子を見つけ一般の生徒が騒ぎ立てているのを見て、法子は俯いたまま顔を上げることが出来ない。ブレザーの襟を固く閉ざし、短いスカートを鞄で押さえても、昨夜の鬱血の跡は隠しきれない。目立たぬよう廊下の隅を歩くが、法子の全身から湧き出る美のオーラは、周囲に目映いばかりの光を放っていた。
「法子、お・は・よ・う」
 不意に背中を叩かれ、法子は怖ず怖ずと振り返る。昨日の昼休み、法子の陵辱を見守った女生徒の一人だ。法子は周囲を見回し壁を背後に立つと、深々と腰を折り、朝の挨拶をする。
「香澄、おはよ」
「おはよ、美菜。…あらっ、法子どうしたの?、その跡。もしかして、キスマーク?」
 法子は図星をつかれ、思わず身を引く。
「ふふ、後で教えて上げる。法子ったら、すんごぉいのよ」
「へぇ〜。昨日は、変態アイドル、活躍しちゃいましたぁ」
 香澄は蔑んだ笑みを浮かべ、法子のスカートからすらりと伸びる脚を観察するかのように見つめる。法子はいたたまれなくなり、身を捩った。堪らなく惨めで恥ずかしかった。香澄は昨日が初対面なのに、早くも法子に対し、イニシアチブを握っている。
 ようやくといった感じで自分の席に辿り着くと、法子は項垂れたまま身体を縮ませ椅子に座った。誰とも喋りたくないし、誰からも注目を浴びたくない。
「法子っ。瑞穂と秀一が来たよ」
 法子は唇を噛みしめ、恨めしそうな表情を美菜に向けるが、小さな溜息を吐き席を立つ。そして重い足取りで彼らのいる教室の隅に向かうと、やはり壁を背にし、深々と腰を折る。
「ほんとだ。よっぽど昨日は激しかったんだな」
 秀一がわざと大声を出した。
(おっ…、お願い…。そんな、大きな声で…。)
 法子は他の生徒にも気付かれそうで、羞恥に全身を紅潮させると、少しでも隠そうと手を脚に当て、恥じ入った。
「隠さねぇで、ちゃんと見せろよ」
 羞恥に身を捩る法子に、秀一は益々声を荒げ、その場にしゃがみ込み、法子の痣を食い入るように見つめる。
「変態オヤジに、やられたのか?」
 秀一が、詮索の混じる好色な笑みを浮かべ法子を仰ぎ見る。法子は唇を噛み、ブレザーの襟元を押さえたまま押し黙っていると、
「おぅっ」
「哲哉クン、見てみぃ、法子の痣」
 哲哉は法子をじろりと見て、秀一の隣に腰を下ろす。哲哉は暫く見つめていたが無数に浮き出る痣の一つに手を触れた。法子が思わず身を引くと、哲哉は威圧感のある眼孔を法子に向ける。
「なぁに、逃げてンだよ。じっとしてろ」
 次第に他の生徒達も法子を中心にした異様な雰囲気に気付き始めるが、みな哲哉達のグループには関わりたくないようで、ちらちらと盗み見をしているだけだ。
「ふん。相当、ヤラれたみてぇだな」
 哲哉は法子の肌触りの良い太股を撫でると、立ち上がり法子の息の届きそうな程の間近に立つ。まるで法子は蛇に睨まれた蛙だ。哲哉の圧倒的な威圧感に包まれ苦渋の表情を浮かべたまま、身動き一つ出来ない。
「上、脱いで見ろ」
 法子は、眼を大きく見開くと、いやいやをするように頭を振る。
「出来ない?…教育、されてぇのか?」
 法子は゛教育゛という言葉に、恐怖に満ちた瞳を哲哉に向けるが、哲哉は含み笑いを浮かべている。父親か美奈にでも聞いたのか、法子の身体に衝撃と戦慄が交互に走る。法子は俯き唇を強く噛みしめ、その表情に屈服の哀しい光を宿すと、小さく息を吐きブレザーを脱いだ。哲哉は法子の小さな顎を掴むと、強引に顔を起こさせた。
「いいか、教室では、ブレザーは着るなよ」
「は、は…い」
 自分でも気付かぬうちに、これまでの支配者にでも接するような感覚に陥り、哲哉に対し従順になっていく。いつの間にか昨日のメンバーが勢揃いし、法子を囲んでいる。哲哉はブラウス一枚になり震えている法子の身体を、他の生徒達に背を向かせ、そのボタンを外した。法子は固く眼を瞑り、唇を強く噛みしめ、哲哉のされるがままに委ねている。
 哲哉はそこが教室であるにも関わらず、法子のブラウスの前を大きくはだけた。
「身体中、痣だらけじゃん。」
 他のメンバーが法子の上半身に付けられた無数の陵辱の跡を見つめている中、哲哉は必死で羞恥に耐える法子の健気な表情を、鋭い眼光で睨んだ。

 法子の席は窓際で後ろから二番目で、後ろが哲哉で前は秀一、隣にもグループである雅之がいるし、斜め後ろは美菜、雅之の前が香澄と全てを囲まれている。グループの瑞穂、貴子、恭介も席が近い。
(昨日から…、囲まれてたの?)
 法子自身覚えていない。昨日が初日で、陵辱を受けてから早退したので、その前の事など記憶にない。しかし、これでは授業中でさえ絶えず恐れおののいていなければならない。法子は項垂れ苦渋の表情を浮かべたまま、安らぐことの出来ない自らの運命を呪った。
 休み時間になると、相変わらず廊下では法子を一目見ようと、用もないのに大勢の生徒達が集まってくる。法子は、窮屈なブラウス一枚だけという恥ずかしい恰好で、席を立つことさえ出来ず、廊下の観衆から目立たぬよう身を縮めていた。
「あいつらが、お前は変態アイドルだって知ったら、どんな顔するだろうな」
 哲哉が、羞恥に俯く法子を揶揄する。気付くとグループで法子を囲んでいた。
「法子、聞かせろよ。昨日の出来事…」
 みな法子の痣がどのように付いたのか、興味津々だ。
「ほんとのこと、言いなさいよ」
 車中で陽子への報告を聞き全てを知っている美菜が、法子を冷たい視線で睨む。法子は苦渋に満ちた表情を浮かべ、俯いてしまった。
「言えないなら、そのまま廊下へ摘み出すぞ」
 哲哉の威圧する声に、震える身体をピクリと反応させた。どうせこの生徒達には自分が気をやるトコまで見られているのだ、法子は哲哉を上目遣いで見つめ、小さな溜息を漏らし、呟くような声で昨日の出来事を告白していった。
「あの…、あれから、うちの社長のクラブに、行って…。
「違うでしょ、駅で陽子さんに、遅れた罰を受けたんでしょ」
 法子は、美菜の言葉にピクリと反応を示すと、俯き再び重い口を開いた。みな法子の告白に大きく眼を見開き、聞き入っている。ませているとはいえまだ中学を出たての彼らにとっては、大人達の醜い部分を見せつけられたような気がした。女生徒達は、法子を益々蔑み汚物でも見るような視線を向け、容赦の無い揶揄や嘲笑を法子に浴びせた。
 男達は、可憐で麗しい法子が想像を絶する陵辱を、自分達にはまだ届かない権力者達により受けている事に、少なからず衝撃を受けたようだ。手を伸ばせば届く距離に法子はいるのに、法子の周囲には大勢の権勢者が絡みついていて、法子との距離がとてつもなく遠く感じる。しかし、学校では法子は自分達のものだ。法子に対し憐情感を大いに抱きつつも、権勢者への言いようのない苛立ちは法子への憎悪に変化し、虐待へのエネルギーに変化していく。
 しかし、哲哉はその涼しい瞳に、青白い炎を静かに燃え上がらせると、俯く法子の背後に絡む目には見えない支配者達を睨み、法子への独占欲を募らせていった。

「法子、次は体育だよ」
 美菜の声に法子は、身体をピクリと反応させた。時間割を見ると確かに土曜日の四時限目は体育になっていた。しかし、法子は体操服など与えられていない。
(先生に言って、見学しよ)
「行くわよ」
 美菜にブレザーを放られ、慌ててそれを着た法子は、美菜達の後に従う。未だ痣はくっきりと残っているし、ようやく股間を覆う程度のスカートであまり教室から出たくはないが、仕方なく美菜達に隠れるように従う。
 体育館の更衣室まで来ると、法子は美菜を呼び止めた。
「あの…、わたし、体操服、まだ貰ってないから…、見学します」
 怖ず怖ずと美菜に告げる法子に、見下した視線で美菜が、
「大丈夫、ちゃんとあるよ」
 冷たい声で法子に言うと、更衣室に入ってしまった。法子は小さな溜息を漏らすと、美菜の後に従った。
「はい。法子用の、体操服よ」
 美菜に手渡されたそれは、絶滅寸前の紺のブルマーとTシャツであった。法子は愕然とし、辺りを見回すが、当然ブルマーなど履いている者は一人もいない。法子は美菜に縋るような視線を向けるが、美菜は意地悪な視線を返した。
「どうしたの?早く着替えなさいよ」
 次第に他の生徒達も、法子が苛めの対象になっていることに気付き始めたようだが、美菜達に恐れ、救いの手を伸ばす者などいなかった。
「それねぇ、わたしが小学生の頃履いてたのなんだ。昨日、一生懸命探したわ」
 そんなもん探さなくても…、法子の胸は虐待を受け続ける事に、憂鬱で重くなる。
「早く着替えないと、先生来ちゃうよ」
 美菜達の眼は意地悪に嗤っていた。法子は苦渋に満ちた表情を浮かべると、項垂れ部屋の隅に向かった。スカートを履いたままブルマーを履くが、その余りの小ささに法子は愕然とした。いくら伸びる素材とはいえ、限界はある。法子の尻肉は窮屈さに行き場を失い、半分も露出している。まるで矮小な水着のようだが、極端に小さいためぴっちりと法子の身体に食い込み、今にもはち切れそうだ。法子の胸は益々重くなる。ブラウスに手を掛けようとすると、既に着替え終えた美菜達が法子の周りに集まる。
「ほらっ、早く」
 法子は羞恥に俯き全身を紅潮させながらも、ゆっくりとブラウスを脱いだ。法子のほっそりとした背中にも痣が無数に残っている。美菜達の揶揄を受けながら、法子はTシャツを着た。やはり小さい。ブラジャーをしていないことが一目で分かり、くっきりと乳首を際立たせ、法子の美しいボディラインを思い切り強調している。美菜達は全裸よりも艶めかしい法子の姿に、同性でありながら思わず見とれるが、
「うわぁ、厭らしい〜」
「ほんと、変態丸出しぃ」
 苦悶の表情で自らの姿に恥じ入る法子に、美菜達の容赦の無い言葉責めが浴びせられた。法子には決して及ばない゛美゛へのコンプレックスは、そのまま法子への虐待に変わる。
「法子、お前の体操服はそれだけだから、大切にするのよ」
 美菜の声に、法子は小さく頷いた。
 更衣室を出た時の恥ずかしさは、法子の想像以上であり、俯き顔を上げられないまま集合場所へと小走りした。手には陽子から手渡されたポケベルを大事に持っている。隣のコートでは男子生徒達が、法子の異様で艶めかしい姿に眼を奪われていた。
「ふふ、法子。男子達、みんな見てるよ」
 美奈の揶揄にも俯き、紅潮させた頬を全身にまで及ばせる。Tシャツとブルマーから伸びるしなやかな二の腕とすらりとした脚には、昨夜の痣もくっきりと浮き出ており、益々身体を羞恥に縮ませながら、列に加わった。
 既に整列していた他の女生徒達は、法子に蔑んだ視線や憐れむ視線などの入り混じった表情を向けるが、法子に声を掛けるものはいなかった。法子は、他の生徒達に倣い体育座りをして列に加わるが、自らの膝に顔を埋め羞恥に耐える。
「お前は、真冬でもその格好で体育するのよ」
 美奈が隣りで法子に囁いた。法子は唇を噛み締め苦渋に満ちた表情を美奈に向け、小さく頷く。
「みんな、揃ったかぁ?」
 やがて体育の教師が来て、整列している女生徒達の前面に立った。ふと法子の装いに眼を向け、訝しげな表情を見せる。
「倉木、お前何だその格好は?」
 他の生徒達が一斉に法子に視線を送った。法子は頸を竦め教師の顔を上目遣いに見つめる。美奈達がくすくすと籠もった笑い声を上げた。
「体操服はどうした?」
 法子は羞恥に益々その身を縮めるが、美奈に脇腹を突っつかれた。
「あの…、この、服しかないので…、これで体育受けさせて、下さい」
 法子が恥じ入りながら震える声で言うと、教師は眉をひそめた。
「まっ、今日は仕方ないが、…授業が終わったら教官室にこい」
 法子は小さく頷く。
「さて、今日もバレーボールをするぞ。…さて、倉木は…」
「先生、倉木さん、私達のチームにして下さい」
 美菜が嬉々とした声をはりあげた。法子は小さな溜息を漏らす。
「そう…だな、倉木は松田達のチームに入れ。…じゃぁ、チーム別に別れて、レシーブの練習をしなさい」
 みな高校生らしい元気な返事をすると、チームに別れ、輪になってレシーブの練習を始めた。みんなが長袖、長ズボンの体操服を着ている中で、一人だけTシャツにブルマーで、しかも極端に小さいサイズを着せられている法子は、堪らなく恥ずかしく惨めな想いをしていた。法子は項垂れたまま、美菜達の輪に入る。チームは法子を陵辱した四人と、如何にも大人しげな二人がいた。最初の頃は普通にボールを廻していたが、突然美菜が男子達のコートにボールを打ち込んだ。
「法子。取ってきな」
 美菜が怖いほどの笑みを浮かべ、法子に告げる。法子はボールの転々とする行方を見つめ、苦渋の表情を浮かべた。
「早く行きなさいよ」
 香澄が法子の背中を押した。法子は眉間の皺をより深くする。
「法子っ」
 美菜の厳しい声に、法子の身体がピクリと反応する。法子は唇を噛みしめ、項垂れると重い脚を引きずり、ボールへと向かった。恥ずかしさに、自分の手を胸の前で交差させながら、小走りにボールへと向かう。男子生徒達の熱い視線が、法子の身体に突き刺さった。
(もう…、嫌…)
 法子は泣き出したい想いを必死で堪え、俯いたままボールに辿り着くと、哲哉達がにやにやしながら立っていた。
「ふふ、すっげぇ恰好してんな」
「頑張って球拾いしろよっ。奴隷アイドル」
 法子はその声にはっとして思わず哲哉達を見返すが、何も言えず、屈辱感に足を引きずり美菜達のところへ戻った。
 暫くするとまた美菜が男子コートにボールを打つ。今度はわざわざコートのど真ん中を横切らせたため、ゲームを止めてしまった。
「ほらっ、法子」
 美菜が冷たい視線を法子に送り、顎をしゃくった。法子は項垂れ、小さな溜息を漏らすと、ゲームを中断させているコートに入る。男子生徒達が一斉に法子に注目した。法子は恥ずかしさに顔を真っ赤にさせもじもじしながら、小走りにボールを取りに行く。
 結局何度も同じ事を繰り返された法子の胸中は、屈辱と羞恥に掻き毟られたように傷だらけになっていった。
「それじゃぁ、今からゲームを始めるぞ。みんな集まって…」
 法子は救われた想いに、ほっと胸を撫で下ろした。
「まずは、AチームとBチームから、Cチームは得点付け」
 美菜達がゲームの準備をしていないところを見ると、法子のチームはCチームのようだ。法子はどうしていいか分からずその場に立ち竦むが、大人しげな二人はスコアボードの傍らで、点数を捲ろうと準備をしていた。法子もそこに向かうが、美菜達に呼ばれる。美菜達は男子コートと女子コートの間に座っていた。法子の胸が再び重くなる。法子は俯き美奈達に近き、彼女達の座り込んでいた端に座ろうと腰を屈める。
「お前は立ってなさいよ」
 美菜の冷たい声が響く。法子は唇を噛み締め縋るような視線を美菜に向けた。美奈達の虐めは陰湿で、もう一人の法子の淫靡な性癖に火が点くことはなく、屈辱感と羞恥心が胸を苛むだけで、法子にとっては辛く惨めな想いになるだけである。好奇な視線を浴びせるのが、法子のクラスメートということもある。街行く人々に痴態を晒しても、それはその時だけの一過性のもので、クラスメートは学校に通う限り同じ時間を過ごす。法子の理性が、法子の本能を必死で食い止めているのか、惨めな想いだけが増幅し、官能の波は凪いだままだ。
「お、お願い…。も、もう…」
 法子は半べそをかきながら、蹲った。極限の屈辱と羞恥が法子を襲い、立っていられないほど圧倒的な錯綜感に包まれる。美奈は震えながら蹲る法子の隣りに座った。
「昨日、言ったでしょ。お前のこと、うんと辛くて恥ずかしい目に一杯あわせてやるって…。お前は、私の兄さんを殺したんだから。…ママを病気に追い込んだんだから」
 法子は涙の滲んだ瞳を美奈に向けた。
「いいのよ、お前を虐める方法なんて、他に幾らでもあるんだから…。お前が後生大事に握ってるポケベル取り上げても良いし、あの契約書や、お前の厭らしい写真、学校中に張り付けても良いわ。…それでもお前は、学校に通わなきゃいけないんでしょ」
 美奈の凄みのある視線に、法子は怯えた。法子は唇を強く噛み締め、諦めたようにその場にゆっくりと立ち上がる。
「男子の方、向いてな。ボールが来たら、球拾いしないとこっちの試合が止まっちゃうでしょ。それから、ちゃんと手を下ろして、゛きょうつけ゛しな」 
 法子は俯くと、仕方なく男子コートを振り返る。男子達はゲームをしながらも、露わな姿でコート中央に立ち竦む法子に、好奇と詮索の入り混じった視線を向けた。
「法子、俯いてたら、ボールが来るかどうか分からないでしょ」
 法子は唇を噛み締めるが、上目遣いで男子達のコートを見る。何人もの男子と視線がぶつかり、法子はその度に視線を背け、羞恥に全身を紅潮させ、もじもじしながら恥じ入っていた。そこにゲームを見物していた哲哉達も法子に近づいてくる。
「どうした?立たされてんのか?」
 秀一が法子にからかうような笑みを浮かべ、揶揄する。
「あらっ、球拾いよ」
 美奈も嘲笑混じりに言う。
「法子、乳首勃ってんじゃねぇか」
 法子は羞恥に俯くと、自らの乳首に視線を落とした。ポツンと浮き出た乳首は、一層際立ち、遠目にも確認出来るほどだ。球拾いなどをしているうちに、Tシャツに擦れ、知らず知らずのうちに刺激を受けていたようだ。法子は思わず自らの腕を交差させた。
「何、隠してんだよ」
 雅之も法子に突っかかる。法子は苦渋に満ちた表情を浮かべ、俯いてしまった。涙が滲んでくる。その時、
「そこっ、何してんだっ」
 体育館一杯に響き渡る声で教師の怒声が飛んだ。一斉にみな法子達を振り返る。みなの注目を浴び、法子は羞恥に震える身体を益々縮めた。
(もう…、嫌。)
 法子は強く唇を噛み締め、泣き出したいのを必死で堪える。 

 授業の後半はゲームに出されていたので、みなの視線を感じる余裕など無かったが、少しでもミスをすると、美奈達の怒声が飛ぶので、法子は必死でボールに飛びつく。それでも法子の胸中は絶えず羞恥と屈辱と戦っていて、授業が終える頃には、緊張と疲れでへとへとになっていた。
「倉木。ちょっと、教官室に寄れ」
 授業を終えると、教師が法子を呼び止めた。法子は項垂れたまま教師に従う。教師は自分のデスクに座り、法子を振り返った。
「お前、もしかして松田達に、苛められてるのか?」
 法子は俯いたまま、何と答えていいのか分からず押し黙っていた。
「どうなんだ?黙ってちゃ、分からんぞ」
 まさか自分は奴隷アイドルだ、などと言えるわけもなく、法子は小さく頭を振る。
「いえ…。違います。…友達として、…つき合ってもらってます」
 自分の事など、そっとしておいて欲しい…、そう言いたいのを喉に押し込める。
「お前もなぁ、タレントとしてこの学校では特別な存在だし、いろいろ大変だろうが、頑張れよ。なんかあったら、先生に相談しに来い。いつでも話を聞いてやるから…」
 法子の瞳に想わず涙が滲む。人の優しさが、人として接してくれることが、こんなにも嬉しいことだとは、法子自身思わなかった。普通の人にとっては当たり前のことでも、法子にはひどく特別なことに思える。普段は人権も意志も剥奪され、文字通り床に這い蹲ることを強要される法子にとって、教師の言葉に懐かしささえ感じた。
「体操服も、買って貰え。その格好じゃぁ、恥ずかしいだろ」
 それが出来れば…、法子は涙を滲ませ俯いたままだ。

 教官室を出て更衣室に向かう法子は、相変わらずその瞳に涙を滲ませ項垂れていた。
(辛い…。とても、辛い)
 心で何度も呟く。陵辱を受け、官能の波の飲み込まれているときが、一番幸せのような気もしてくる。思考する機能が停止し、陵辱者の命令にその心身を完全に委ねていれば、こんなに苦しまなくても済む。極限の苦悩に苛まれ、法子の胸中にはそんな倒錯感まで芽生えてくる。
 ふと、瀬田の涼しげな笑顔が法子の脳裏に浮かんだ。
(瀬田さん。…早く、助けて…)
 瀬田に抱かれたい…、法子は初めてそう想った。そして、何もかも忘れさせて欲しい。胸を掻き毟られるような想いから解き放たれたいという願いが、瀬田を恋しくさせた。
 更衣室に戻った法子は、そんな感傷をまた引き裂かれる。制服が、無い。法子の脳裏に美奈達の狡猾な笑顔が浮かんだ。法子は唇を噛み締めると、その場に蹲る。
(もう…、止めて)
 蹲る法子に人の話し声が聞こえてくる。
(そうだ…、今日は土曜日…。掃除?)
 法子は自分を励まし、立ち上がった。すると数人の女生徒が更衣室の扉を開けた。
「あっ、…倉木法子」
 法子は俯くと、その横を小走りで通り抜ける。
「なに、あれ?やな感じ」
 法子を誹謗する声が背後から浴びせられるが、法子は胸を押さえ教室へと走った。掃除の時間ということで、大勢の生徒が法子とすれ違う。みな法子の姿に呆気にとられ、振り返って見るものや、指を指し揶揄しているものまでいる。法子は羞恥と屈辱に胸が張り裂けそうになりながらも、俯き教室へと向かった。
 教室では、美奈達が掃除もせず屯っていた。法子は怖ず怖ずと彼女達に近づく。
「あの…、わたしの、制服、…返して、下さい」
 美奈が法子に冷酷な視線を向けた。
「なぁに、お前。私達を、泥棒扱いする気?」
 法子は苦渋の表情を浮かべ、俯く。
「どうなんだよ。私達は、泥棒なのかよっ」
 香澄に肩を小突かれ、法子はおどおどしながら、
「いっ…いえ。そんなつもりじゃ…。…御免なさい」
 屈辱に震える声で必死に謝る。美奈は、法子の震えているか細い肩に手を掛けると、威圧するような声で言う。
「法子。お前、昨日私達のペットにさせてくれって、言ったよね。…でも、お前の態度見てると、素直じゃないし、ペットのくせに、飼い主を泥棒扱いするし…。やっぱり、飼い主の責任としては、躾が出来てないペットには、厳しい躾をしなきゃ、ねぇ」
 法子は美奈の腕の中で、身体を小刻みに震わせた。荊の檻は狭く、法子に、もがく自由さえ奪っている。

 結局法子はTシャツとブルマー姿のまま掃除をし、放課後を迎えた。羞恥と屈辱は、法子を限界まで追いつめている。
「法子、昨日の部室に来るんだよ」
 自分の席で羞恥に身体を縮ませていた法子に、美菜が冷たく言い放った。法子の胸が重くなる。校門付近を見渡すが、迎えはまだのようだし、ポケベルも鳴らない。法子は苦渋の表情を浮かべると、美菜に従う。
 廊下では下校途中の生徒達が行き交っていた。みな、法子の露わな姿を見ては、無遠慮な視線を向けてくる。法子は身体を縮ませ、美菜の影に隠れるが、華やかな光を放つ法子に気付かないものは居なかった。
 ようやく人気が途絶え、昨日の陵辱の場でもある部室の前に辿り着くが、法子の心は、これから受けるであろう陰湿な虐待に、心が重く沈んでいた。そんな法子に美奈が振り返る。
「法子。ここから先は、ペットの衣類は禁止だから」
 法子の眼が大きく開かれた。
「そこで、素っ裸になれってことよ」
 香澄が追い打ちを掛けた。法子は余りのことに、膝が音を立て震え出す。
「お前は、さっき私達を泥棒扱いしたんだから、当然でしょ」
「わたし、初めて…。泥棒なんて言われたの…」
 瑞穂と貴子も、法子を睨んだ。いくら人気が無いといっても、いつ誰が来るかも分からない学校の廊下で全裸になることに、当然強い抵抗を感じる。誰かに見つかれば、瞬く間に学校中に知られてしまう。
「…ごっ、御免なさい。…お願い、謝りますから…、そんな、許して、下さい」
 その場に、土下座しそうな勢いで法子は哀願を繰り返した。
「べつに、法子にとっちゃ普通じゃん。素っ裸で、コンビニまで行ったくせに…」
 法子は項垂れた。辺りを見回すが、確かに他の生徒は居ない。
「ホントに素直じゃないのね、このペットは…。飼い主の私達の命令を何だと思ってるの。兎に角、二度と我が儘が言えないような、厳しい躾が必要ね」
 美菜が呆れたような口調で他の女子達を振り返った。法子の震えに、羞恥と屈辱が入り混じる。
「裸になれないなら、いいわよ…それでも」
 法子は唇を強く噛みしめた。突然、項垂れていた法子を、香澄達が羽交い締めにする。法子が小さな悲鳴を上げると、美菜は法子の握りしめていたポケベルを取り上げ、呆然とする法子に、凄まじい笑顔を向けた。香澄達は、力の抜けた法子を突き放す。
「いっただきぃ」
 美菜が勝ち誇ったような笑みで、法子を見下すと、
「反省したら、服脱いで、入ってきな」
 美菜はそう言い残すと、香澄達とともに部屋に入り、扉を閉めた。廊下に一人残された法子は、呆然と立ち竦んでしまった。
(お願い…、そんなに、虐めないで…)
 法子は声にならない悲痛な叫び声を上げた。しかし、ポケベルを返して貰わねば、陽子からまた酷い仕打ちを受けてしまう。法子は小さな溜息を漏らすと、辺りを見回した。まだ、人気はない。法子の心臓が激しく脈打ちだした。唇を強く噛みしめ、拳を固く握る。
(もう…、嫌)
 法子の瞳に、屈服と決意の光が宿る。辺りを見回し、人気がないことを確認したが、法子の胸を突き破りそうな程、心臓が鼓動している。すると、法子は素早くTシャツとブルマーを脱ぎ、全裸になった。学校という公共の場で、全裸でいることに信じられない思いになるが、その事実に法子の全身が音を立てて震えている。羞恥に焦りながら、脱いだ服を抱え法子はドアノブを廻した、が、開かない。法子は愕然とした。必死でノブを廻すも、誰かが押さえているのかやはり開かない。法子は羞恥に思わず蹲る。その時、ドアが細めに開いた。美菜であった。法子は美菜に縋るような視線で仰ぎ見た。
「法子。服、よこしな」
 法子は悲哀の籠もった表情で小さく頭を振った。
「早くしないと、誰か来るよ。…服、くれたら入れて上げるから…」
 法子は最早正常な判断を下す余裕が無くなったかのように、入れて上げる…、の一言に服を美菜に差し出してしまった。美菜はそれを受け取ると冷たい視線で、蹲る法子を見下し、
「素直じゃなかった罰よ。少し、反省しな」
 そのまま扉を閉めた。法子の呼吸が止まる。
(いっ、いやぁ…)
 法子は必死で扉に縋り、
「ごっ…、御免なさい。…素直に、…素直になりますから…。」
 小声で哀願を繰り返しても、扉は開かない。法子の表情は苦渋に満ち、瞳には涙も滲んでくる。法子は膝を抱え出来うる限りに身体を縮ませ、備え付けの靴箱の隅に蹲る。心拍数は天を突き、少しの物音にも怯え、鋭い反応を示す。滲んでいた涙が頬を伝った。
 永遠とも感じられた時が過ぎ、ようやく扉が細く開いた。
「法子。ちゃんと反省した?」
 美菜の声に、法子は迷い子が親と対面したような、幼気な表情を見せた。
「は…い」
「素直に、なれる?」
 法子は、その問いにも従順に頷いた。
「じゃぁ、入れて上げる。…いい、これからこの部室に入るときは、必ずそこで素っ裸になってから入るんだからね」
 法子は一刻も早く部室に入れて貰いたくて、何度も頷く。遠くからは、賑やかな話し声も聞こえてくる。
「じゃぁ、良いわよ。入りなさい」
 美奈は、支配する事に陶酔しきった笑顔を法子に向けると、法子を部室に入れた。
「おぉっ、法子。いきなり素っ裸かぁ」
「やっぱ、お前は素っ裸が一番似合ってるね。
 法子の学校での支配者が、羞恥に震え俯く法子に揶揄を浴びせる。美奈や哲哉を含めた八人は、授業を終えても下校せず、部室で昼食を摂っていた。
「法子。部室では、四つん這いで歩くのよ。いいわね」
 美奈の声に、法子は小さく溜息を漏らし唇を噛み締めるが、ゆっくりと腰を下ろしその場に手をついた。全裸になることで、法子の胸中には支配者に対する屈服心が芽生え、自らの意に反しながらも、ひどく従順になってしまう。法子は四つん這いで、みなの前まで這うと、その場に正座した。羞恥に裸身を小刻みに震わせ、呼吸も不規則だ。
「法子。制服、ここにあるじゃん」
 美奈が意地の悪い笑みを法子に向ける。
「お前が、ここに置いて、それ、忘れちゃったんでしょ」
 法子は哀愁に満ちた瞳を伏せると、か細い声で答えた。
「は…い。…その通りです」
「自分の、頭悪いの棚に上げて、私達を泥棒扱いしたのね」
 美菜の執拗で陰惨な言葉責めに、法子の胸は屈辱ではち切れそうになるが、絶対的な服従を求める美菜に、法子は自棄的な想いに駆られ従順になる。
「ご…、御免なさい」
「御免なさい、じゃぁねぇだろっ」
 美菜は言葉を荒げると、法子の頬に強烈な往復ビンタを見舞った。法子を心の底から憎む少女の力が、法子の身体を揺さぶる。
 法子は、美菜に憐れみを請うような切ない視線を向け、必死で謝罪した。美菜は法子の髪の毛を鷲掴みすると、法子の顔に唾を吐く。法子の胸は、すっかり恐怖と屈服心に支配され、法子は震えながら必死で謝り続けた。哲哉達は二人のやりとりをにやにやしながら見つめている。
「お前、本当に心の底から謝ってんの?昨日は、自分からペットにさせてくれって言ったくせに、今日になったら、駄々ばかりこねてさ。いい加減にしなっ」
 美菜は法子の苦渋に満ちた顔を揺さぶり、頬を叩く。
「やっぱ、私達には、絶対に逆らえないほどの罰を与えなきゃ、お前自身、私達のペットだって、自覚出来ないんでしょ?」
 美菜は法子に乱暴な言葉を浴びせ続けることで、我を失い、益々その眼に凶暴な光を宿していく。法子は心の底からの恐怖を覚えた。
「いい?今日は徹底的にお前を痛みつけて、お前の身体に、私達の怖さを思い知らせてやるからっ、覚悟しなっ」
 狭い部室に響き渡る美菜の怒声は、法子の羞恥に縮んだ裸身を益々萎縮させ、法子に恐怖と服従心を植え付けさせた。法子はひたすら美菜に謝罪を続けるが、美菜は法子の裸身を平手打ちしたり、蹴飛ばしたりして、その底に流れる嗜虐の血を奮いおこしていく。法子は美菜に泣きながら恭順を誓い、頭を垂れ続けた。最早法子にとって、美菜はクラスメートでは無く、服従と忠誠を誓う絶対的な支配者として、君臨し始めていた。

 


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