『若草を濡らす少女たち』
第二話 福沢由紀子の巻
      第一章 退屈な夏休み      

第一章 退屈な夏休み

 あーあ、何か面白い事ないかなぁ.....。
 由紀子は一つ大きなため息をつき、ベッドに寝転んだ。
 ちょうど夏休みの真っ只中、由紀子は退屈な日々を過ごしていた。
 大体どこの学校でも、夏休みには宿題というものが出て、休みの間中遊びまくっていた生徒たちが、最後の夜に山積みになった宿題と悪戦苦闘するというのがお決まりのパターンである。由紀子も去年は例外ではなく、始業式当日の午前三時に睡魔と戦いながら、フラフラになって宿題を片づけたものだった。
 しかし今年はあの時の二の舞は避けようと夏休み初日から机に向かい、十日間ですべて宿題を終わらせてしまったのだ。
 さぁこれで思う存分遊べる、と意気込んだものの、友達は家族旅行や親戚の家に遊びに出かけてしまい、殆どが不在だった。といって一人で遊べる事というのも限られているので、どうしても時間が余ってしまう。
 うだるような熱い日が続き、じっとしていても汗が滝のように流れ落ちて来る。朝にシャワーを浴びてから二時間くらいしか立っていないのに、肌がジットリと汗ばみ、Tシャツが貼り付いて来て気持ちが悪い。
 「フーッ」
 由紀子は目を閉じて、再び大きなため息をついた。こうしていると、密かに憧れている体育の加藤教諭の事が思い出される。
 先生、今頃何してるのかしら.....
 加藤は普段は男子の方の体育を受け持っているため、由紀子たち女子が教わるのは雨の日の保健の授業くらいだったが、精悍な顔と逞しい体格で他の女子生徒たちにも人気が高かった。何でも学生時代は空手でかなり鳴らしたらしく、インカレで優勝したこともあるという話を聞いたことがある。
 加藤先生.....。
 由紀子は加藤の顔を思い浮かべた。笑うと真っ黒に日焼けした顔から白い歯がこぼれ、とても爽やかな印象を与える。
 由紀子は無意識のうちにTシャツの上から胸の膨らみを摩り始めていた。
 「んっ.....」
 しなやかな五本の指で柔らかな胸の隆起を捕らえ、捏ねるように揉み込んでいく。顔がほんのりと赤くなり、息が少し荒くなってくる。
 左手で胸への愛撫を続けながら右手で内腿に触れ、スーッと撫で上げる。
 「あんッ...」
 ゾクゾクする甘い感覚に、由紀子の口から切なげな吐息が漏れる。右手がそのままショートパンツのゴムを掻い潜り、パンティの上から秘密の部分をまさぐり始める。
 「由紀子、由紀子!」
 突然、下の階から母親の呼ぶ声がした。
 夢のような気分は一気に吹き飛び、由紀子は現実に引き戻された。
 んもぅ!これからだっていうのに...いっつもこうなんだから。
 由紀子はノロノロとベッドから起き上がった。またどうせ買い物でも行かされるに決まっている。
 「由紀子、悪いけどお使いに行ってきてくれなーい」
 やっぱりそうだわ、まぁどうせ暇だからいいけど.....。
 「今行くからちょっと待ってて」
 これからという所を邪魔されてムッとする気持ちを抑え、由紀子は下へ降りていった。

 福沢由紀子、十四歳。東京都郊外の市立池上中学校に通う、中学二年生のごく普通の女の子である。
 由紀子の中学校は、石川町という私鉄の駅のすぐそばにあり、家から歩いていくと二十分ほどかかる。自転車通学は許可されていないので、夏や冬は通うのがちょっとしんどい距離だ。由紀子の家はちょうど二つの中学の学区域の境目にあり、距離的にはもうひとつの新田中学の方が近かったので、そちらに通おうかという話もあったくらいだ。
 制服も向こうはエンブレムの入った紺のブレザーに、チェックのスカートというお洒落な制服だが、こちらはごく普通のセーラー服である。当然新田中学の方が女子生徒の人気は高かったが、由紀子はずっとセーラー服に憧れていたので、多少遠くても迷わず池上中学を選んだ。
 通うのに時間はかかるが、仲のいい友達もたくさん出来たし、校風もおおらかですぐに馴染むことができた。だから由紀子は今でも池上中学を選んでよかったと思っている。
 家庭は両親、姉、そして由紀子の四人家族だ。二歳年上の姉は高校が全寮制のため、普段は殆ど家にいないが、家庭内は至って穏やかで、他の日本の平均的な家庭と変わるところはない。
 昔は背も大きい方ではなく、目立たなかった由紀子だが、小学校五年生になったくらいから急に身体が発育し始めた。初潮があったのもこの頃だ。
 背丈は一五九センチと今でもそう取り立てて高い方ではないが、脚が長いので実際の身長より高く見える。最近は身体付きも丸みを帯びて、めっきりと大人っぽくなってきた。 なだらかなカーブを描く細い眉毛、柔和な感じのする一重瞼、キュッとすぼまった愛らしい口元、そして全体の調和を壊さない程度に高い鼻。それらが絶妙のバランスで小さな顔の中に配置されている。
 中学生の幼さと大人の色っぽさが同居しているような顔だちが、不思議な魅力を感じさせ、サラサラしたボブカットの黒髪が、透き通るような白い肌によくマッチしている。
 ちなみに由紀子はまだバージン、キスすらも経験したことがない。
 近頃の女の子はススんでいて、中学生で初体験を済ませてしまう子も結構いるという話を良く耳にする。しかし由紀子にとって、そういう話は何となく自分とは遠いものに感じられた。
 最近の女の子は身体の発育が良くて、中学生の中にも大人と見間違える程、成熟している身体つきの子も少なくない。しかし心はまだまだ幼く、セックスの経験については興味を持っているのと同じ位、また不安も持っている。実際、中学生ではまだバージンという女の子の方が圧倒的に多いのだ。
 とはいえそこは年頃の女の子。由紀子も人並みに、性に関しては並々ならぬ関心を持っているし、学校ではちょっと際どい話を友達とすることもある。しかし何と言ってもまだ十四歳、まだまだ初心な女の子なのだ。
 「わぁ、やっぱり暑い」
 母親からメモをもらって外に出た由紀子は、ムッとする陽気に顔をしかめながらも、自転車に跨がると勢いよく飛び出して行った。

 その日の夜は珍しく父が早く帰ってきて、三人で夕食を食べることになった。
 由紀子の父は中堅の貿易商社で営業課長をしており、海外との取り引きという仕事柄、帰ってくるのは大抵、由紀子たちが夕食を済ませた後で、夕食は外で食べて来る事が多い。たまに家で食べる時も、後から父一人で食べるのが常だった。それが今日は七時過ぎには帰ってきて、しかも帰る前に会社から電話を入れてきた。
 こんなことは初めてだった。しかもいつになく上機嫌である。
 「パパ、どうしたの今日は。帰りも早いしニコニコして、いい事でもあったの?」
 箸を動かしながら由紀子は訊いた。
 「ん、分かるか?実はな」
 父が身を乗り出して話し始めたのは、何と旅行の話だった。
 「ちょうど明後日から一週間休みが取れてね、実はもう予約も取ってあるんだ」
 父は夕食のすき焼きを頬張りながら、笑顔で話した。
 由紀子の両親は元々旅行好きで、知り合ったきっかけも旅行先の出会いだったと由紀子は母から聞かされていた。父が仕事で忙しくなってからはそんな話も出なくなったが、母はよく長期の旅行へ行きたいと父にねだっていた。そのためか突然の提案にもかかわらず即座に賛成した。
 由紀子も退屈してしょうがない所だったので、渡りに舟の話だった。
 「あ、そうそう、由紀子。すまないがお前は留守番なんだ」
 「えーっ、何よそれ」
 父の冷たい言葉に、由紀子は思わず大きな声を上げた。
 「実は今年は母さんと結婚して二十周年の年なんだ。その記念の旅行にするつもりだったんでな」
 「えーっ、で、でもぉ.....」
 由紀子も旅行といえば、小学校の時家族四人で軽井沢に行って以来、随分と御無沙汰している。やっと退屈な毎日から抜け出せると思ったのに、こんな事があるだろうか。
 とその時、由紀子の頭にある事がひらめいた。
 「分かったわ、しょうがないわね。そういう理由じゃ」
 「な、何?」
 突然由紀子の態度が変わって、父はあっけにとられた顔をした。
 「いいわよ、二人で行って来て。うーんと楽しんでいらっしゃいよ」
 「何だ。ずいぶんあっさり納得してくれるな。もっとゴネられると思ったのに」
 「いいの、由紀子。あなたあんなに退屈そうにしてたのに」
 母も旅行に行けるという嬉しさと、由紀子への遠慮が入り混じった複雑な表情をしている。
 「ママも気にしないで、ちゃんと留守番してるから。その代わり、お土産買ってくるの忘れないでね」
 「そ、それはもちろんだけど.....」
 「本当にいいのか?」
 父はまだ納得が行かない様子だ。
 「う、うん、良く考えたらその日ちょうど用事があるの思い出したんだ。大丈夫、ちゃんと留守番してるから心配しないで二人で行ってきて」
由紀子は胸の内を悟られないよう、精一杯の笑顔を作って言った。
 「じゃ、ごちそうさまでしたーっ」
 由紀子は食事を済ませると、拍子抜けした顔の両親を残して二階へ駆け上っていった。 うまくいったわ...。
 自分の部屋に戻った由紀子は、心の中で一人ほくそ笑んでいた。
 由紀子の頭にひらめいた事、それはオナニーの事だった。

 


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