『麗と隷』
       第一話       

第一話

 倉木法子は、まだ幼さを残しながらも、まるで美の神々が彼女にだけ特別端正を込めて完成させたかのような美少女であった。神々しい雰囲気さえ漂わせ、瑞々しいまでの肢体がしなやかに伸び、九頭身はあろうかと思えるほど均整のとれたボディーラインは、まだ中学生でありながらも早熟した美しさを持っていた。豊かな家庭にも恵まれ何不自由なく育った法子は、令嬢と呼ぶに相応しいほどの気品と、何者にも侵すことの出来ない貴人の品性をも兼ね備えていた。
 そんな法子に悲運が訪れたのは、中学二年の夏であった。両親が姉を車で迎えに行った帰宅途中に事故に巻き込まれ、全員即死という悲劇を生み、法子の幸せに満ちた生活を一瞬で奪ったのだ。法子は身体中の水分が全て涙になるのでは思われるほど、毎日の様に泣きくれた。
 三人の法事も全て終わった頃には、ようやく落ち着きを見せたが、毎日三人の仏壇の前で呆然とする日々が続いた。
 そんな時、法子の面倒を見ると申し出たのは、祖父の妾の子である、叔父の松田達夫であった。他に親類のいない法子にとって、縁は薄いとはいえ唯一頼れる人物であるのも事実だ。多額の保険金も出て一人暮らしも考えたが、半ば強引に説得された形で達夫の世話になることを決意した。達夫の妻である亜希も快く受け入れ、法子は住み慣れた我が家を引き払い、達夫夫婦の元に身を寄せた。
 叔父の家には高校生になる聡と、法子と同じ歳である美菜の二人の兄妹がいた。美菜も美少女の部類には入るが、プライドの高い美菜は法子の圧倒的な美しさに少なからず嫉妬の念を抱いた様で、法子には冷たく当たっていた。それに反し、兄の聡は何かと美しい法子に優しくしたのが、法子の唯一の救いでは有った。しかし、そんな兄の態度を見て、美菜はますます法子に嫌味をけしかけてきたりしていた。
(あぁ、やっぱり、私、ここに来たの、間違いだったかなぁ。)
 まだ幼さを残す、可憐な胸を潰す想いの毎日が続いた。
 そんな法子を、更なる悲劇が襲った。偶然達夫と二人きりで過ごすことになったある日、それまで優しかった達夫が突然牙を剥いた。
 法子をレイプしたのだ。達夫は妾の子として常に世間から中傷や嘲笑を浴び、本妻の家族に対し憎しみの念を抱き続けてきたのだ。法子は必死で逃げまどい、力の限り抵抗したが、男の絶大な力に屈服した。まだ満足に下腹部の翳りも揃わない法子から、破裂の鮮血を流させた達夫は、それだけに飽きたらず、ぐったりとした法子の穢された裸体をデジカメに収めたのだ。法子は自分の運命を呪った。両親達を失った傷も癒えぬ法子に、新たな深く抉るような傷が、又一つ増えた。
 法子は、両親が残した財産を受け取り、達夫の家を出る決心をしたが、狡猾な達夫に全ての財産を握られ、為すすべもない法子は途方に暮れた。抵抗の術を失った法子に、達夫はデジカメの画像をネタに、法子に関係を強要するようになった。羞恥心の強い法子は、法子の裸体の全てを大勢の人に見せると脅迫され、血の滲む想いで泣く泣く達夫の脅しに屈した。
 一度許してしまった法子は、徐々に達夫の性奴と化していった。ことあるごとに達夫は、法子の瑞々しく美しい身体を貪った。屈辱と恥辱に必死で耐える法子であったが、その身体は達夫により強引に開発され、幼さの残っていた法子の身体は成熟した女の色香をも漂わせるようになっていった。
 その達夫は、実は筋金入りのサディストであった。不承不承ながらも達夫の要求に屈している法子を、ただ抱くことに飽きた達夫は、法子に変態じみた行為を強要するようになっていった。
 法子の華奢な身体を縄で縛り上げたり、達夫の目の前で自分を慰めることを強要させられ強制的にいかされたり、挙げ句の果てに達夫の目の前で放尿まで強制させられたりした。達夫は、法子の陵辱の様を、毎回ビデオや、デジカメに収めていった。法子はそれらの地獄のような羞恥に身体を震わせながら必死で耐えた。恥ずかしさに消え入りそうになる法子の可憐な姿は、達夫の嗜虐心を大いに煽った。
 しかし、死んでしまいたいほどの羞恥地獄の中から、法子は奇妙な想いを感じ始めていた。感情では絶対に許すことの出来ない達夫に責められていると、身体の奥底から甘美なる想いが溢れるようになってきたのだ。いくら自分を戒めても、法子の身体は敏感に反応した。次々に襲ってくる官能の波から必死で逃れようとするが、何時しかその甘い想いにどっぷりと浸っている自分がいた。達夫は、そんな自分好みに調教されていく法子を見てほくそ笑んでいた。達夫に、淫乱、マゾ、変態女などと嘲笑を浴びていくうちに、口ではいくら否定しても、身体が反応してしまう自分に嫌悪感さえ覚えた。
 そんな二人の秘密の行為も、ある日破局を迎えた。いつものように、身動きが出来ないほど縛められ、十二分に潤った秘部にはバイブを突き立てられ、達夫自身をその小さな口一杯に広げ頬張せられていた淫靡な光景を、聡に目撃されたのだ。聡は滑稽な程震え、その場から飛び出した。間が悪かった。玄関を飛び出した聡を一台の車が襲ったのだ。
 聡は何日も死の境を彷徨った挙げ句、結局帰らぬ人となった。それからの達夫の家の雰囲気は、法子にとって針の筵に座っているようなものであった。優しかった亜希も、法子を疫病神のように罵り、美菜の虐めもエスカレートしていった。
 ところが、法子にある日幸運が訪れた。街を歩いていても一際目立ち、光を帯びるその美貌の法子に、芸能プロダクションのスカウトが声を掛けてきたのだ。もともと芸能界などにはなんの興味も無かったが、その話を聞いていくうちに、寮生活が有ることを知った法子は、達夫の家を飛び出したい一心でその話に飛び付いた。家に帰り、亜希に恐る恐るその事を告げると、亜希も法子と一緒に暮らすのが苦痛であったようで、二つ返事で了承した。渋る達夫を亜希が説得し、法子は達夫の家を出て、寮に入った。法子は余りの嬉しさに、達夫の握っている法子の陵辱の限りを尽くしたビデオや画像の存在をすっかり忘れていた。

 芸能界にデビューした法子の美しさには益々磨きがかかり、その美貌と均整のとれたスタイル、そして少し陰のある少女として神秘的な雰囲気を漂わせ、あるCMの出演をきっかけに、世のアイドルフリーク達の注目を一身に浴びるまでに成長していく。
 もともと芸能界に入りたくて入ったわけでは無いので、テレビや雑誌等の露出度は極めて少なく、一切水着やセクシーショットはNGにしてきた。それがかえって、法子の人気に拍車をかけた。出演するテレビは軒並み高視聴率をマークし、法子の表紙を飾った雑誌は、普段の売り上げより何割も増すといった現象を引き起こしたのだ。
 しかし、本人はそれらのことにまるで無頓着で、スタッフや共演者、他のアイドルにも無愛想で、陰での評判は決して良いものではなかった。

 そんなある日、高校の進学を控えた春休み、プロダクションの社長の浅田から呼び出しがかり、法子は事務所に向かった。春らしい薄いイエローのワンピースの装いで、爽やかな涼風をも伴っているようだ。社長室に入ると、怒ったような表情の浅田と、まるでヤクザのようで、四十代後半の年の頃であろうか、見知らぬ男が下品な笑みを浮かべていた。
「法子、そこに座れ。」
 浅田の態度は明らかにいつもと違う。怪訝な表情を浮かべる法子は、見知らぬ男から避けるように端のソファーに座った。
「おいっ、法子。この写真はどういうことだ。」
 法子の目の前に数枚の写真が投げ出された。恐る恐るそれらに視線を合わせた法子の表情が凍りついた。それは、達夫により撮影された法子の陵辱の写真であった。カメラ目線で恍惚とした表情で自分を慰めている写真、妖艶な笑顔を浮かべ自分で自分の秘部を大きく拡げ、その十二分に湿った秘肉を露わにしている写真など、どれもこれもまるで法子自らが望んで撮影した様な雰囲気の写真であった。
「こ…こ、これ…は。」
「法子、どうなんだ。これはお前か?」
 厳しい口調で浅田が問いかける。
「あっ…、あの。」
 法子の頭の中は真っ暗のままで、動揺を隠せない。膝が音を立てて震えているのが分かる。「法子ちゃん。お前だよな、どう見ても、これは。」
 見知らぬ男が言った。
「ちっ、違います。わ、私、こっ、こんなの…。」
「あれっ、そおぉ。じゅぁ、これを見てよ。」
 男がビデオのリモコンを手にし、スイッチを入れた。テレビには全裸で正座した法子が映し出された。法子の顔面から血の気が引き、真っ青になる。
『こ…これから、法子、オナニーします。…ど、どうぞ…私の…、淫らな、姿を…よく、見て下さい。』
ビデオの中の美少女は、そう言って頭を下げると、幼さを残した肢体を自ら開き、自分の秘部に手を這わせていった。
「や、止めてっ。…と、止めて下さい。お願いします。」 
ビデオの中の美少女は、次第に熱い吐息を漏らし始めねっとりとした視線をビデオに絡ませていった。
「や、やめてっ…。」
 法子は叫ぶように言うと、男からリモコンを奪おうとしが、男はそれをかわすと法子に不気味な笑みを向けた。
「これは、お前自身だろ。」
「ちっ、違います。」
「じゃぁ、どうしてそんなに慌ててんだ。」
「そっ、…それは…。」
 法子は俯き唇を噛んだ。
「ふっ、お前が違うっていうなら、此処にいる会社の連中に見て貰って判断するか。」
 男が席を立とうとした。
「まっ、待って。…待って…下さい。」
「どうして?。お前じゃぁないなら、誰に見せても平気だろ。」
 法子は押し黙ったまま、頭を振った。
「わ、私…です。だ、だから、止めて、下さい。」
 法子の瞳に涙が滲んだ。男は凄まじいまでの笑顔を見せ、ビデオを止めた。
「で、でも…、しゃ、社長。信じて下さい。これは、あの、無理矢理、撮らされたんです。」
 それまで二人のやり取りを怒気を含んだ表情のまま聞いていた浅田に、法子は縋るような思いで救いを求めた。
「法子。無理矢理だろうが、強制だろうが、こんなビデオが有ることに問題があるんだ。」法子は再び俯くと、瞳に溜まっていた涙が落ちた。
「お前は、スタッフやここのタレントにも受けが悪いし、あのテレビには出たくないだの、こんな格好は嫌だのって、我が儘のし放題だったろ。これまで人気がでたからって大目に見てきたが、こんなスキャンダルが発覚したらお前は終わりだぞ。第一、うちの他のタレント達にだって迷惑がかかるんだ。」
 男が再びソファーに腰を下ろす。
「この方は安岡さんといって、俺がお世話になってる人の筋の方だ。そこでも芸能事務所を開いているから、お前は、そこに行け。」
 法子は余りの事に驚愕した。
「おっ、お願いします。こっ、これからは、何でもします。でっ、ですから、そ、そんな事、言わないで下さい。」
「駄目だ。いいか、それがこのビデオを公開しない条件だそうだ。…お前は、この方の事務所のお世話になるんだ。」
 虚しい哀願を繰り返す法子であったが、浅田はそれ以上口を開くことは無かった。

 まるで囚人のように項垂れた法子は、安岡の後に従い車に乗った。浅田に頸を宣告されれば、寮に留まることも許されるはずも無く、居場所を失った法子は安田に従うしか無い。まるで地獄へでも赴くかのように、不安と恐怖に押し潰されそうな法子は、口を開くことさえ忘れ、自分の悲運を呪った。
「降りろ。」
 車が止まったことさえ気づかないでいた法子に、安岡が冷たく言った。気怠そうに車を降りた法子は、辺りを見回した。
(ここは…、どこ?)
 そこは、薄暗い雑居ビルの地下駐車場であった。
(い、今なら…逃げられる?、で、でも、行くとこなんて…、そうだっ、達夫さんに…。)
 そう思った瞬間、安岡にがっしりと腕を捕まれた。
「法子。悪いようにはしない。芸能界も続けさせてやる。兎に角、話だけでも聞いて行け。
寮だって用意してあるんだ。本当にお前が嫌なら、いつでも解放させてやる。」
 法子の顔に少しだけ血の気が甦る。
「ほっ、本当…ですね。」
「あぁ、だから、そんなに心配すんな。」
 法子は少しだけ救われたような安堵感を覚えた。
 案内された事務所は、今までのそれとは違い、薄汚く、小さな事務所であった。そこには二,三人のチンピラ風の男達がいた。法子を見つけると、まるで飢えた肉食獣のように舐め回すような視線で見つめた。法子の胸が不安で高鳴る。
「連れてきました。」
 社長室と掲げられた部屋に通された法子は、愕然とした。そこには、大きなソファーにくつろぐ恰幅のよい男がいた。しかし、法子を驚かせたのは、そこに一緒に居た達夫と亜希であった。
「ど、どうして?」
 二人は法子に向かい残忍な笑みを漏らした。なかでも、亜希のそれは凄まじく狂気を帯びている。
「久しぶりねぇ、法子。」
 以前よりやつれた亜希は、只ならぬ雰囲気を漂わせ、法子を見つめる。法子は背中に冷たいものを感じた。
「やぁ、法子ちゃん。我が事務所への移転、おめでとう。」
 恰幅の良い男が法子に向かい下品な口調で投げかけた。この事務所の社長でもある梅田であった。
「そ、そんな…、まだ、決めた訳じゃ…。」
 法子は事態を飲み込めずに狼狽えるばかりだ。
「そうか、でもなぁ、法子。そのうち、お前からここにいさせてくれって、泣きつくようになるぞ。」
 すると、いつの間にか背後に回ったチンピラ達が法子を後ろ手にし、手枷を掛けた。
「いっ、いやぁっ。たっ…助けて。」
 悲鳴を上げ、必死で抵抗する法子であったが、男三人に掛かってはその抵抗も虚しく、足枷まで付けられ、それを先程の手枷に括られると、逆海老のように拘束され一瞬で身動きが取れなくなった。一人の男が法子を抱えると達夫達の前に乱暴に投げた。法子は恐怖に全身音を立て震わせた。
「法子、いい気味だわ。」
 亜希が冷たく言い放った。
「あぁ…。」
 法子は恐怖に口が利けなくなっていた。
「法子、お前、どうしてこんな目に会うか、分かる?」
 亜希は残忍な眼差しで法子を見下ろした。
「こんなものが、家から出て来たのよ。」
 亜希は達夫の撮影したものを法子に投げつけた。
「うちの旦那に問いただしたら、お前、うちの旦那、誘惑したんだってねぇ。」
「ちっ、違います。…あっ、あれは、無理矢理。」
「うるさいっ。」
 亜希は鬼の様な形相に変わると、拘束され無抵抗の法子の腹部を力の限り蹴りつけた。法子は余りの痛さに悲鳴を上げることさえ出来ず、美貌を歪ませた。
「聡が死んだのも、お前のせいだってねぇ。」
 法子は蹴られた痛みに尚も表情を歪ませながら、恐る恐る亜希を覗き見た。
(く、狂った…の?)
 聡が事故に遭ったのは、確かに法子と達夫の現場を見たからだ。絶対的に達夫に非はあるものの、少なからず良心が咎めていた法子は押し黙ってしまった。
「法子。聡を殺した罪と、うちの旦那を誘惑した罪、お前には精一杯、償って貰うわ。そう、一生かかっても償いきれない罪よ。お前は、大罪人なの。」
「ゆ、…許して…、許して下さい。」
 法子は恐怖に泣くことさえ出来ず、その華奢な身体を震わせていた。達夫は二人のやり取りを人ごとのように聞いている。
「あらっ、じゃぁ、罪を認めるのね。」
「そっ…それは…。」
 口ごもる法子に再び強烈な蹴りが入る。法子は息が出来ないほどの痛みに、眼を白黒させた。亜希は、そんな法子の髪の毛を鷲掴みすると身を起こさせ、射るような眼差しで法子を睨んだ。
「どうなの、法子、認めるのね。お前は、淫乱で、変態で、うちの旦那を誘惑して、聡を殺したって。」
「ちっ、…違い…ます。」
 言うが早いか、亜希は法子の頬に強烈な平手打ちを見舞った。その強さは倒れそうなほどであったが、亜希に髪の毛を鷲掴みにされているためされさえも出来ない。法子は唇を噛みしめ、達夫に救いを求めるような視線を投げた。それを見た亜希が逆上した。
「お前、またうちの旦那を誘惑してっ。」
 亜希は眼を怒りに吊り上げると、掴んでいた髪の毛を離し、近くに置いてあった竹刀を握りしめ法子を狂ったように打ち始めた。他の男達は呆れたような表情で笑みを漏らすだけであった。
「いっ…、やっ、止めてぇ…、お、お願いっ…。」
 法子の悲鳴がこだまする。亜希は法子の胸や腹、そしてワンピースから剥きだしている色白の脹ら脛をも真っ赤に染め、容赦の無い憎しみの籠もった打擲は、亜希の息が上がるまで続いた。ぐったりとした法子を肩で息をしている亜希が狂気の眼差しで見下ろしている。
「法子。思い知らせてやるから。」
 亜希が呟くように言うと、二人の様子をにやにやしながら見ていた男達に目配せをした。
二人が法子に近づくと、一人が拘束されている法子をがっしりと抱え込んだ。
「いっ、いやぁっ…、やっ…止めてぇ…。」
 身の恐怖を感じた法子が必死で抵抗するものの、悲鳴だけが虚しく響く。やがてもう一人の男が法子のスカートを捲るとショーツも下ろした。そして、法子の小さく形の良い臀部を露わにすると、男は法子の菊門にイチヂク浣腸を突き刺した。
「いっ…いやっ。」
 男は瞬く間に1ダースものそれを空にすると、法子の菊門には大きすぎる程のアヌス栓を取り出し、それを無理矢理ねじ込む。そのアヌス栓には鍵が付いていて、ロックさせると内部が傘状に広がる特別の誂え物であった。
「いたぁい…、痛いよぉ。」
 法子はやがて童女のように大声で泣き始めた。抱えていた男が再び床に法子を転がす。
「ピーピー煩いわねぇ。」
 亜希が法子の腹部に尖ったヒールを乗せ、体重を掛けた。
「あぁ…、おっ…お願い…しま…す。ゆ…許して…くだ…さい。」
 法子は痛み出した腸内の痛みと、それを押しつける亜希の足の痛みに絶え絶えになりながらも許しを請い続けた。ふいに亜希の足が離れた。
「お前が許されるわけ無いじゃない。」
 亜希が腰を下ろし、法子の涙で濡れた顔を覗き込む。
「法子。お前がここに連れてこられた理由を話して上げる。お前はね、これからここの事務所に移って、奴隷になるのよ。ただの奴隷じゃぁ無いわ。大罪を犯した、決して許されることの無い罪を背負った奴隷として、一生罰を受け続けるの。私は、お前に一生罰を与え続けるわ。それが、死んだ聡への供養よ。」
 法子は唄うように話す亜希に、心の底からの恐怖を覚えた。
「いい、法子。素直に自分の犯した罪を認めて、私達の奴隷になるって、誓いなさい。」
「あっ、悪魔だわ。いっ…嫌よ…、そ…そんな…、奴隷なんて…。」
「あっ、そっ、分かったわ。考える時間を、たっぷり与えて上げる。そうしたら、お前は、きっと自分から罪を認めて、自分から奴隷にして下さいって、素直になれるわ。」
 亜希がそう言うと一人の男が法子を軽々と持ち上げた。法子は男の肩に担がれながら、歯を食いしばっていた。先程の浣腸が、法子の腸内で暴れ回り激痛を与えていたのだ。
 法子は別の部屋に連れ込まれた。その部屋はまだ昼間だというのに暗闇に包まれている。亜希が明かりを付けた。そこには、様々な拷問器具が揃えてあった。鋭角に尖った三角木馬、鈍い光を放ち幾筋もギザギザに尖る角材、大きな水車、不気味な色を放つ磔、様々な拘束具、そして鞭、狭い檻、腸内を襲う痛みに耐えることに必死な法子は、それらに眼を向ける余裕は無かったが、後にその痛みを知ることになる。
 連れ添ったのは亜希と先程のチンピラ風の男達だけだ。法子を抱えていた男は、法子を床に転がすと、手枷と足枷を括った鎖を外した。後ろ手に拘束した手枷を改めて前で拘束すると、それを天井から降りた鎖に固定し、法子が爪先立ちになるまで滑車を巻いた。そして、法子に口枷をも噛ます。法子はそれにより蹲る自由も、悲鳴を上げる自由も奪われた。
「法子。たっぷりと時間をあげるから、このまま自分の犯した罪を、よぉく悔いるのよ。」
 声を上げることを封じられた法子は、必死で頭を振って哀願の視線を亜希に向けるが、亜希は男達を伴って部屋を出ていってしまった。
 一人残された法子は、限界を遙かに超えた痛みに、こもった悲鳴を上げながら身をよじり続けたが、やがて意識を失い手枷に体重を預けた。

 どれほどの時間が経過したのか、朦朧と眼を明けた法子の瞳に亜希の姿が映った。次第に、腸を襲う激痛を伴って意識が戻ってくると、法子は身をよじり始めた。
「どぉう、法子。反省したかい?」
 法子は必死で頸を縦に振った。
「そぉう、じゃぁ、罪を認めるのね。」
 再び、法子は狂ったように頸を縦に振る。
「奴隷に、して欲しいのかい?」
 法子は、そこで躊躇いを見せたが、がっくりと頸を落とした。
「おやっ、奴隷にはなりたくないの?じゃぁ、もう少し苦しんだら。」
 法子は、こもった悲鳴を必死で上げ、夢中で頭を振った。すると亜希が法子に近づき、優しく髪を梳き上げた。
「だって、ねぇ、こういうことって、無理矢理じゃぁ、駄目でしょ。お前が、自ら罪を認めて、自ら望んで奴隷になりたいって思わなきゃ、ねぇ。」
 無茶苦茶な理屈であったが、法子は腸を襲う刺すような痛みに逃れたくて、頭を縦に振り続ける。亜希は凄まじい笑顔を見せると、法子の口枷を外す。
「おっ…、お願い…、も、もう…許して…下さい。」
「お前が許して貰えるわけ無いだろっ。折角溜まった物を出させて上げようとしたのに、やっぱり、まだ苦しんだほうが良さそうだね。」
「あぁ…、いっ、いやっ…、おっ、お願いします…、出させて…下さい。」
「いいわよ、じゃぁ、お前、奴隷になりたいのね?」
 法子は俯いた。そして、屈服の瞬間を悟る。
「は…い。ど…奴隷に…なりたい…です。」
「それって、おなかの痛みから解放されたくて、言ってるんじゃぁ無いよね?」
「ちっ…違い…ます。」
「どうしようかなぁ、さっき、あんなに愚図ったから、やっぱり奴隷にしてあげるの、止めようかしら。」
 まるで窮地に陥った小動物をいたぶるように陰湿な言葉で法子を焦らした。
「あぁ…、そ…そんな…、おっ…お願いします。ど…奴隷に…して…下さい。」
「ふふ、いいわ。お前がそんなに望むのなら、奴隷にしてあげないこともないけど…。そおねぇ、それじゃぁ、お前が本当に奴隷になりたいって言うなら、私の言うこと、出来る?」
 亜希はそう言うと、法子に耳打ちをした。法子は驚愕の表情を浮かべるが、がっくりと頭を垂れると、小さく言った。
「し…、ます。」
「あらっ、無理にはいいのよ。」
「無理じゃ…あり…ません。」
「分かったわ。じゃぁ、外して上げる。」
  拘束を解かれた法子は、すっかり痺れた両手にタライを持たされ、自らの力で歩かされた。腸を襲い続ける激痛に蹲りそうに歩みを止めると、亜希の竹刀が襲ってきた。
「愚図ってるなら、また吊すわよ。」
 そう脅されながら、必死で亜希の後を追った。
 なんとか社長室に辿り着くと、そこには梅田、安岡、チンピラ風の男三人、見知らぬ男が五、六人、そして達夫と、十人を越える人達が、いっせいに法子に振り返った。法子はあまりの観衆の多さに愕然とした。なかにはビデオを廻している者もいる。
「そ…そんな…。」
 法子は、自分が震えているのは、痛みなのか、羞恥なのか分からなくなっていた。
「法子。出来なかったら、吊すわよ。」
 法子は頭を振った。最早法子の腸は限界を超えて、行き場を失ったガスが、法子の腹をまるで妊婦のように膨れさせている。
「みなさま、お待たせしました。これより、この娘が、みなさまに、お願いすることがあるそうです。」
 法子はこれから自分がする屈辱と羞恥を極めた行為を考えると、まともに顔を上げられず、全身を紅潮させた。激痛は益々法子の体内を駆けめぐっていて、普通に立っているのさえ辛い。
「どうしたの?ほらっ、それとも、また吊す?」
 法子は苦悶の表情で頭を振ると、意を決したようにその場に跪き、頭を垂れた。
「み…、みな…さま。わ…私は…倉木…法子と、いいます。私は…、亜希様の…御子息…聡様を…殺した…大罪人です。旦那様の…達夫様をも…誘惑して…不倫をしていた…淫乱な…女です。そのような…大罪を…犯しながらも…これまで…アイドルとして…悔いることのない…生活を…送って…参りました。私の…犯した罪は…とても…許される…ものでは無く、今後は…その…罪を償い…、皆様より、罰を…与えて…頂くことに…よって、少しでも…罪を…償って…いきたいと…思います。そのためにも…私は…奴隷アイドルとして…みなさまの…お世話に…なりたいので…どうぞ…私を…ここの事務所で…飼って…頂けないでしょうか。」
 何度も亜希に訂正させられながらも、途切れ途切れに法子は屈辱の宣誓をさせられた。すると、社長の梅田が法子に近づく。
「法子。奴隷アイドルとして、お前を置いてやっても良いがなぁ、とても辛いぞ。なにしろ、人間では無くなるんだからなぁ。お前にその覚悟は、できてるのか?もう、二度と引き返せないんだぞ。」
「あぁ…、は…い。」
 梅田は下品な笑みを浮かべる。
「よぉし、それじゃぁ、お前を奴隷アイドルとして、ここで飼育してやるからな。」
「あっ…、有り難う…御座います。」
 法子は自分でも不思議に思えたが、その理不尽な申し出に思わず礼を言っていた。
「じゃぁ、法子。お前も目出度く奴隷アイドルにして頂いたんだから、その証拠をお見せしなくちゃぁねぇ。」
 亜希が冷たく言い放つ。法子はこくりと頷くと、その場に立ち上がり、まるで催眠術にでも掛かったかのように、ワンピースのボタンを外し始めた。腸を襲う痛みから一刻も早く逃れたい一身で、亜希達の要求を飲む法子に、みなの嗜虐心は大いに掻き立てられた。ワンピースを床に落とした法子は、下着だけの姿になると、全身を紅潮させ、震えだした。
「どうしたの、出来ないの。」
 法子は、その声にピクリと反応すると、ブラジャーに手を掛け、震えながらそれを外した。みなが、その美しさに息を飲む。まだ膨らみきっていないが、見事に吊り上がった乳房は、見るからに弾力性に富んでいる。法子は、次にショーツに手を掛けた。少しの戸惑いを見せたが、それを床に落とす。まだ完全に揃っていない翳りや乳房を手で隠しながら、恥辱に震える美少女は、見物人達の嗜虐心を誘い、みな法子の裸体に固唾を飲む。
「ほらっ、まだ言うことがのこってるでしょっ。」
 怒気を含んだ亜希の口調に脅され、法子は再び膝を付いた。
「みなさま…、奴隷…アイドルと…させて頂いた…証拠として、わ…わたしの…一番…恥ずかしい…行為を…見て…下さい。」
 一人の男が法子に近づき、法子を苦しめていたアヌス栓を取り外した。法子は夢中でタライに跨ると、派手な崩壊音と断末魔のような悲鳴を響かせながら、液体となった汚物を垂れ流した。
 全てを出し終えると、法子はその場に崩れ全身を震わせ声を上げて泣きじゃくった。そこに、梅田が歩み寄ってきた。
「おいっ、いつまで泣いてんだ。」
 泣き崩れている法子を、足で小突くと、梅田は書類を法子に放り投げた。
「法子。お前との契約書だ。眼を通せ。」
「ぐずぐずするんじゃ無いよ。」
 亜希にも蹴飛ばされ、法子は、ようやく半身を起こし、しゃくり上げながら梅田の差し出した書類に眼を通した。それを読んでいく法子の表情が、次第にあおざめていく。


契約書

 本契約書は、契約締結者(以下、甲)A,Kプロダクション代表 梅田政夫、(若しくは甲の認める人物)が契約履行者(以下、乙) 倉木法子 の発想と願望を元に作成された契約書である。

一つ、



乙は甲のプロダクションに属し、乙は甲が提示する条件、内容等に無条件で従い、その行動の全てを、甲の指示に従い了承を得るものとする。又、甲の指示対し、乙は、それに意義を唱える権利を放棄するものとする。

一つ、



乙の身体は、甲の許可無くして、乙が自由に扱う権利は剥奪され、乙の身体は、甲の意志により、甲が自由に扱う権利を有する。又、乙が、自らの意志を持つことを禁じ、乙の意志は、甲の意志に沿うものとする。

一つ、

乙は、A,Kプロダクションの発展の為、その全てを犠牲にし、その役務に努める義務を有する。

一つ、



甲は乙に対し、その芸能活動に於いて、如何なる内容の芸能活動も要求可能であることとし、乙は甲の要求する芸能活動を完遂する義務を負うものとする。又、甲の要求に対しての、乙のその完遂性の判断は、全て甲に委ねられるものとする。

一つ、


甲により指示を受けた内容等が、国法を犯す行為で、乙が訴訟等を起こされた場合でも、乙自身の意志により国法を犯した事実を認め、甲に対し、その被害が及ばぬよう努めることとする。

一つ、





甲は乙に対し、その芸能活動を円滑に進めるために、必要と認められる如何なる教育をも施す権利を有し、乙は、それらの教育を無条件で享受し、甲は、それらに掛かる教育費、設備費、消耗品等全ての費用の請求を、乙に求めることとし、乙はその返済の責務を負うこととする。又、乙は、その教育の必要性の判断の全てを甲に委ね、その甲の判断に対し、意義を唱える権利を放棄する。

一つ、



乙は甲の指定する衣装、衣類を着用し、指定された以外の衣装、衣類を着用することを禁じ、乙は甲の指定した衣装、衣類に対し、意義を唱える権利を放棄するものとする。又、それら芸能活動に掛かる費用は、乙が全額負担するものとする。

一つ、



乙は、乙を応援する全ての第三者に対し、その要求を最大限に受け入れ、乙を応援する全ての第三者に、その全てを晒すものとする。又、乙は、乙を応援する第三者の獲得のために、その全てを犠牲にし、これに努める義務を有する。

一つ、

乙は、その芸能活動の報酬の全てを、甲に管理を委ね、乙が報酬を自由に扱う権利と、それを請求する権利を剥奪する。

一つ、


乙は、甲に、その全ての時間の管理を委ね、乙は、甲に、休日、休憩等を要求する権利を放棄し、常に甲よりの拘束を受け続けるものとする。

一つ、


乙は、甲の指定された居住区を使用し、それらの家賃、光熱費等は、全て乙が負担するものとし、これまでの乙の財産の全てを甲に寄与するものとする。

一つ、


この契約内容は、甲が必要と認めた項目であれば随時追加され、その内容は、乙の芸能活動が円滑に行われるために、常に補完されるものとする。

一つ、


上記の契約内容に、乙が違約したと、甲の判断が認められた場合、甲は、乙に対し如何なる罰則をも与えられる権利を有し、乙は、甲の与える罰則を無条件で受け入れるものとする。

一つ、





この契約は、双方完全なる合意の元に作成されたもので、乙は、この契約を解約する権利を永久に放棄するとともに、この契約の履行に、最大限の努力と、その存在の全てを犠牲にし、完遂に努める義務を有するものとする。又、乙は、この契約書の内容を、絶対不可侵かつ神聖的なものとして崇め、この契約書を、その精神の拠り所とすることを確約する。

 法子は、余りの内容に愕然としその美しい裸体を小刻みに震わせた。
「こ…こんな…。」
「なんだ、お前、奴隷アイドルにさせてくれって言ったのは、法子だろ。奴隷になるということは、そういうことだぞ。」
 梅田の問いに、法子は唇を噛んで俯いた。すると今度は、亜希がぞっとするほどの優しい口調で法子を諭す。
「法子。だからさっき言ったじゃない。こういうことは、無理矢理じゃぁ、駄目だって。お前が、自ら望んで奴隷になりたいっていう、強い意志がなきゃ駄目よ。」
 法子は瞳からは、次から次へと涙が溢れてきた。愚図る法子に亜希の口調も低い迫力を帯びたものになる。
「それともお前、嘘、ついたの。」
「ちっ…違います。嘘…では、有りません。」
 法子は、亜希の口調に恐怖を覚えた。浣腸され、放置された痛みが甦る。
「ほらっ、だったら、ここに、サインして、実印を押しな。」
 いつ持ってきたのであろう、亜希の手には法子の実印が握られているのを見て、法子は怪訝な表情をした。
「ふふ、お前の寮に置いてあった物、全て処分しといたから。だって、お前はこれから、奴隷アイドルとしてここに飼われるんだから、今までの物なんて、もう、必要無いでしょ。
それに、この契約書にも書いてあるじゃぁない。お前は、今までの全ての財産は、自ら、進んで、私達に寄付するって。」
 法子は愕然とした。部屋には、家族達の遺品の数々が置いてあったはずだ。
「あっ…悪魔よ。貴方達は、悪魔よっ。」
 法子の眼が吊り上がり、その声は怒りに震える。法子の頬に強烈な平手打ちが響く。
「違うわ。私達は、お前にとって、絶対神よ。」
 亜希が目配せをした。法子は、息を飲んだ。そして、弾かれたように床に手を付き、悲鳴のような口調で許しを請う。
「ごっ…ごめんなさい。お…お願いします。契約します。判を押します。何でもしますからっ。お願い…許して下さい。」
「法子。さっきも言ったでしょ。お前が、許されることは、無いのよ。」
 亜希の足下に縋る法子に、冷たい口調で言い放つ。一人の男が法子を軽々と肩に乗せた。
「いっ、いやあぁっ、もっ、もう、痛いのは、いやぁっ。だっ、誰か助けてぇっ。」
 屈強な男の肩の上で絶叫する法子に、他からの助けは無かった。
「みなさん。どうぞ、後三十分ほど、くつろいでいて下さい。すぐ、戻ります。」
 亜希が、見物人に唄うように言うと、絶叫を上げる法子とともに部屋を出た。

 先程の拷問部屋の冷たい床に転がされた法子は、全裸を晒していることさえ忘れたかのように冷たい床に土下座した。 
「おっ、お願いします。ご、御免なさい。…御免なさい…わっ、私…。」
 半ば泣き声で、法子は必死に亜希に悲痛な哀願を続けた。亜希は頭を垂れている法子の頭を靴で踏み付ける。
「法子。奴隷の身分っていうものを、思いしらせてやるわ。」
 二人の男が法子を再び抱えると、鋭角に牙を剥きだした三角木馬のに跨らせるた。そして、男が素早く法子の足首に三角木馬に付いた足枷を掛け、両手も木馬全面の手枷に拘束した。法子の金属的な絶叫が響く。
「ぎゃぁーぎゃぁー、煩いわね。」
 法子は歯を食いしばり必死で悲鳴を押さえる。
「法子。お前、私達のこと、悪魔って言ったよね。本当に、そう思う?」
 法子は必死で頸を横に振る。
「あぁっ…ごっ、ごめん…な…さい。」
 法子の言葉は股間を襲う激痛に、途切れ途切れになる。
「謝ってるって事は、お前が悪いんだから、お前に罰を与えて、お前に反省させるのは当然でしょ。」
 法子が言葉に詰まると、亜希は法子の身体を揺さぶり、法子に悲鳴を上げさせる。
「あっ…いっ…、そっ…その…通りですっ。あっ…」
 亜希は苦悶に歪む法子の顎を掴み、顔を上げさせた。
「いいかい、よく聞きな。…お前は、もう人間じゃぁ無いんだ。大罪を犯してる、卑しい奴隷なんだ。これから私達は、その大罪を少しでも償わせてやる為に、お前には罰を与え続けるんだからね。お前は、これから、とても普通の人間では耐えられないような辛いことや、恥ずかしいことを沢山経験させてあげるわ。だからお前は、罪を償わせてあげている私達に、最大限の敬意と、感謝の念を忘れちゃ駄目だよ。」
「は…い、わ…分かり…ました。」
「いいかい、ここの事務所との奴隷契約も、私達は、お前と契約してあげるんだからね。そして、お前が奴隷アイドルとして、きちんと大勢のみんなに御奉仕出来るようにって、お前を教育してあげるんだから。それを忘れるんじゃぁないよ。」
 法子は余りの激痛に完全に思考能力が低下してしまったのか、亜希の言う理不尽な要求に只夢中で頸を縦に振り続ける。
「それじゃぁ、もう一度聞くけど、お前は、本当に、奴隷アイドルになりたいんだね?」「は…い。な…なりたい…です。」
「それじゃぁ、下ろしてやるけど、いいかい。又お前の態度や、言葉遣いが悪かったら、今度は、もっと痛い目に遭わせるからね。分かった?」
 法子が小さく返事をすると、男達によって木馬からの拘束を逃れた。ぐったりとする法子に、亜希が腹部に強烈な蹴りを入れる。
「法子っ。いいかい、私達は今、お前に教育をしてあげたんだ。お礼の言葉を言わないと、また痛い目に遭わせるからなっ。」
 法子は、弾かれたようにその場に土下座して頭を垂れると、屈辱の゛お礼の言葉゛を言った。
「あ…亜希様。きょ…教育…、を…して頂いて…有り難う…御座いました。」
「ふんっ。法子、お礼を言うときは、額は床に付けるんだ。」
 亜希は靴のまま、法子の後頭部を踏み付け、床に押しつける。
「あぁ…、ごっ…御免なさい。」
 法子は自分を木馬に乗せた男達にもお礼を言わされると、再び社長室に、全裸のまま連れ込まれた。社長室に向かう廊下で、散々亜希に脅された法子は、度重なる拷問への恐怖と疲労からすっかり従順になり、亜希の言葉一つ一つに怯えの表情を見せるようになってしまった。

 亜希に連れ添われ、社長室に入った法子の、稟とした気品は見る影も無く、そこにはすっかり恐怖に支配され、怯えた哀しい少女の姿に変わり果てていた。しかし、法子の美貌は、それまで受けた拷問を嘲笑うかのように、光を放っている。法子はその見事な裸体を隠すことさえ許されず、梅田の元に近寄ると、土下座し額を床に付け、予め亜希に含まされた台詞を言った。
「梅田様。…さ、先程は、わ、私のような、大罪を、犯した者を、奴隷アイドルとして、契約して、頂ける好意を、踏みにじってしまって、大変、申し訳御座いませんでした。ど、どうぞ、気を悪くなさらずに、も、もう一度、私に、奴隷アイドルとして、契約して、頂く我が儘を、聞いて、下さい。よ、宜しく、お願い、致します。」
「法子。お前、本当に、奴隷アイドルとして、俺達に仕える覚悟が出来てるのか?」
「は、は…い。ど、どうぞ、お願いします。り、立派な、奴隷アイドルに、なれるよう、私を、教育して…下さい。」
「駄目だ。さっきのお前の事も有るし、契約出来ない。」
 法子は焦った。契約して貰わねば、又厳しい拷問を受けてしまう。法子は、梅田にしがみつき、涙を流しながら必死で懇願した。
「おっ…お願します。ど…どの様なことも、します。させて頂きます。でっ、ですから、お願いします。ど…奴隷アイドルとして、契約させて、下さい。」
 必死で不条理な懇願を続ける法子を、梅田は残忍な笑みで見下ろしていた。
「ふん。それじゃぁ、仕方ない。お前を、奴隷アイドルとして、契約してやる。」
「あ、有り難う、御座います。」
 梅田の言葉に、法子はひとつ肩で息を吐くと、法子の瞳から、一筋の涙が零れる。法子自身、その涙の意味するものを図りかねた。
「いいか、もう一度確認するぞ。この契約を結べば、お前はもう、普通の生活は送れないし、一生、人格も、自由も奪われた、奴隷として、生かされるんだぞ。その、覚悟は、出来てるんだな。」
 法子は小さく、返事をした。可憐で哀れな美少女は、自分に幾重にも張り巡らされた包囲を知り、それを施した悪魔達に、隷属する決意を決めた。
「よし。それを忘れるなよ。…それじゃぁ、ここに署名と実印を押すんだ。」
 法子は言われるままに従う。これから自分を襲うであろう数々の屈辱と恥辱を考えると、法子の胸は不安で押し潰されそうになる。
「それから…と、これがお前の財産の譲渡書だ。」
 法子は次々と出される書類に無表情を装い判を押していく。これで法子は本当に無一文になってしまった。かつての楽しい団欒を築いた家、家族が死んだことで入ってきた保険金、そして、これまで法子自身が芸能界で得た報酬、その全てが梅田達の手に渡っていった。どうせ逆らったところで、自分を拷問に掛け、強引に梅田達の意志に沿わされるなら、素直に言うことを聞いておいた方がいい、という半ば自虐的な気持ちが芽生えてきた。
「よし、それじゃぁ、これが最後だ。」
 梅田が差し出した書類は、一億円もの貸付金の証書であった。保証人の欄には達夫の署名がある。法子は愕然とした。自分の財産の全てを奪われ、しかも、借りてもいない借金まで背負わされることに。
「法子。契約書にも書いて有ったろ。お前を゛奴隷アイドル゛として教育するための設備費用はお前が負担するって。さっき、お前が教育されていた部屋の改装に、一億、掛かってんだぞ。お前を教育するために、改装したんだ。お前が払うのが当たり前じゃぁないか。」「あ…あの、で…でも、私、お金なんて…あ…有りません。」
 たった今、自分達が奪ったではないか、しかも、自分にはこの先、給料すら与えられないはず、そう言いたいのを堪えた。
「法子。お前には、その、若い身体があるじゃない。何とかなるわよ。」
 亜希が法子に事も無げに言った。亜希の声を聞くだけで反射的に身体が恐怖で震えるようになってしまった。
「嫌、なの?」
 亜希が低い声で脅しを掛けた。
「い…いえ。嫌では…有りません。」
「それじゃぁ、感謝しなくちゃぁ、ばちが当たるよ。だって、私達は、お前の為を思って、してあげてるんだから。全く、口の訊き方も知らないのね。」
 亜希き法子の耳元で囁く。法子は屈辱に唇を噛んだ。しかし、すっかり拷問の恐怖を身体に覚え込まされた法子は、必死で自分の想いを隠し、お礼の言葉をいった。
「わ、私のような者の為に、部屋を改装して頂き、誠に、有り難う、御座いました。お借りした、お金は、一日でも早く、この、身体を使って、返させて、頂きますので、どうぞ、それまで、お許し下さい。」
 額を床に付け、屈辱的な台詞を言わされることに、法子の震えは止まらなかった。
「さぁて、これで法子も、はれて゛奴隷アイドル゛になれたわねぇ。良かったわねぇ。さてと、立会人の皆様にも、お礼を言わなきゃね。」
 法子は自分の悲劇を助けもせず、薄ら笑いを浮かべながら見物していた観客の前に、その美しい裸体を晒すと、額を床に付け、亜希に含まされた台詞を言った。
「み、みなさま。本日は、お忙しい中、私の為に、ご足労頂き、有り難う、御座いました。私が、゛奴隷アイドル゛となれたのも、みなさまの、お陰でございます。まだ、゛奴隷アイドル゛としては、半人前なので、みなさまよりの、御教育を、受けさせて頂き、一日でも早く、立派な゛奴隷アイドル゛に、なれるよう、努力させて頂きますので、どうぞ、厳しい、御教育を、宜しく、お願い致します。…本日は、何も、出来ませんが、せめてもの、感謝の気持ちと、致しまして、御奉仕させて、頂きますので、何なりと、お申し付け下さい。」
 法子の宣誓が終わると、饗宴の舞台は夜が明けるまで続けられた。法子は、自慰を強要されたり、白濁を飲み込まされたり、そして、部屋を変え、゛教育部屋゛での数々の拷問器具に掛けられたりと、昨日までのアイドルとしての生活とは一変し、一日で哀れな奴隷へと貶められた。法子は屈辱に震え、恥辱に涙したが、法子の心の奥深い場所では、達夫により植え付けられた被虐への淡い甘美なる想いが、甦りつつあった。

 


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