『七世・ふたたび』自主規制版
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プロローグ

 突然の雨が街路樹を濡らし、夏の日差しに焼けついたアスファルトを冷やしていく。まるでたらいをひっくり返したような夕立は、夏の終わりが近いことを告げているようであった。
「ああ、こんな……恥ずかしすぎるよ……」
 慌てて玄関に飛び込んだ七世は、真っ白なミニのワンピースが雨に濡れて肌に張り付いているのを見て、悲しげに呟いた。
 下着を着ることが許されない七世にとって、薄い生地のワンピースは、濡れることで裸の姿を完全に浮き上げらせる代物なのだ。
 七世は、膨らみ始めたばかりの乳房も、まだピンク色の乳首さえも露わにし、そして可愛らしいお尻の形まで丸出しにして、大勢の人の中を逃げるようにして帰ってきたのだった。
 幼い頃から離れて暮らす母の薦めで、子役のモデルを続けてきた七世は、全国放送のテレビ番組に出演するようなってから、その優しい顔立ちで癒し系ジュニアアイドルと呼ばれるまでになっていた。
 それだけに、この町の誰もが七世のことを知っている。
そんな有名人が、幾ら小学生だからと云って、裸同然の姿でいれば目立たぬ訳はなかった。
 アイドルとしての仕事をしている間は、下着の着用が許されているものの、その行き帰りはまた脱がなくてはならない。そんな帰り道での雨が、少女を極限状態の羞恥に追い込んだのであった。
「へへへ、ほらほら奥さん、早くお尻から卵を産むんだよ……」
「ヒヒヒ、早くしないと七世ちゃんが帰ってくるぜ……」
「ああ、お願いッ……娘は……七世だけは……」
「だったら、最後の俺を早く満足させなッ……俺達三人を満足させりゃ、今日の処は帰ってやると言ってんだからよう……」
「へへへ、卵を産みながらだぜ……」
 玄関のドアを閉めた途端、奥の居間から母と近所の男達の声が聞こえてきた。
『あああ……また、来てる……帰ったことが判ったら……』
 玄関で立ち竦む七世は、その声に震え上がった。また商店街の連中が来ているのである。
 義父の経営するSMクラブで、誰とも判らぬ男達を相手に、密かにジュニアアイドルのM嬢として、残酷な性奉仕を強要されている七世では有ったが、相手が顔見知りの男達では、さらに恥ずかしさが増すと云うものであった。
 とてもこのままあの男達の前に出る勇気はなかった。かといって、逃げることもできない……。
 そんな七世の前に、突然に茜が現れて、
「あら、七世ちゃん……帰ってたの? フフフ、皆さん、お待ちかねよ……」
 と言って七世の腕を取り、無理矢理居間へと引っ張っていった。
「ああ、許してッ……あの人達だけは嫌ッ……お願いですッ……茜様、御主人様……」
 七世は無駄だと知りつつも、必死に哀願して茜の手から逃げようとする。しかし、そんな抗いも居間から男達が顔を出すまでの間だけであった。
「おお、帰ってきたのか?……早かったじゃねえか……」
「へへ、オッパイもお尻も丸見えだぜ……さすがはマゾ奴隷の七世ちゃんだ……」
「フフフ、さすがにジュニアアイドルと呼ばれるほどのタレントだ。登場する演出がにくいねえ……」
 男達に取り囲まれた七世に逃げ場はなくなった。
 抱えられるようにして運ばれた居間では、母の恵子が素っ裸に縛られ、床に突っ伏して泣いていた。
「あああ、七世ちゃん……どうして……どうして、こんなに早く……」
 雨で濡れた体を見られるのが恥ずかしくて、走って帰ってきたのが仇となったのだ。娘が帰ってくるまでに、必死で男達を満足させようとしていたのが水の泡であった。
「へへへ、約束通りに、今度は七世ちゃんで楽しませて貰うぜ……」
 濡れたワンピースのボタンを外しながら、酒屋の政吉がそう言うと、
「せっかく金を払って来てみりゃ、七世ちゃんはお仕事だって言うからがっかりしていたが、これで元が取れるってもんだ」
 と、喫茶店のマスターが新たな縄をほどきながら言った。
「うう、嫌だよッ……縛らないでッ……言う通りにするから……うああん……」
「ああ、お願いですッ……七世にはッ……」
 母娘の悲痛な叫びが交差する中、残酷な饗宴が始まろうとしていた。
『うううッ……幸せになれるって、言ったのに……』
 後ろ手に縛り上げられ、近所の男達が思い思いの責め具を手にするのを目にして、七世は母の言葉を思い出していた。
 そうだ、あの日から全てが狂い始めたのであった。


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